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お皿を洗っている後ろ姿を見ながら、チャニョルくんの話も出てきたときにふと思い出したことを口にした
「そういえばさ、聞こうと思ってずっと聞いてなかったんだけど2人はなんの学校行ってるの?」
一瞬お皿を洗う手を止めて振り返って、すぐに手元に視線を戻したベッキョンくんに首をかしげた
「いや、意外だって言われそうだけど…保育科ですよ」
驚いた
まさかここで共通点が出来るとは…
「俺は保育士じゃなくて児童養護施設で働きたいんですけどね〜」
そっか、ベッキョンくんはそこで育ったようなものだもんね
きっとひと一番子どもの気持ちをわかってあげられるんだろうな
「あそこにはほんと色んな子がいるから、俺みたいに気付いたらいたみたいな人だけじゃないし…そういう子たちにも笑顔になってもらえるような人になりたいなって」
「…ベッキョンくんならなれるよ」
こんな無責任なこと言うべきではないのかもしれないけど、本当にそう思ったから
ベッキョンくんは笑ってありがとうございますって
それだけ言って手を拭いてこちらへ戻ってきた
「チャニョルは保育士だけどあいつ器用だからピアノも弾けるし子どもの扱いも上手いからきっとなれるよな〜!まぁでかいから子ども踏んずけそうで怖いけど」
冗談ぽく笑うベッキョンくんはいつも通りだけど、私の思い上がりなんかじゃなければいつもより楽しそうに笑うから私もつられて笑う
そしてこうやって自分のやりたいことに一生懸命な人を見るとやっぱり自分の不甲斐なさに情けなくなるわけで
私が保育士を諦めた理由には自分の意見や気持ちを素直に言葉に出来なかったことが大きかった
いつも人の顔ばかり気にして怯えていたから
「Aさん?」
「ん?」
「なんか元気無いですか?」
「え〜そんな事ないよ?ご飯食べたら眠くなっちゃった」
前に過去の話をした時も嘘はつかなかったけどあえて避けた
情けなくて自分が保育士になるのを諦めたことを話せなかった
幻滅されるのが怖かった
「じゃ、今日は帰りますね!ゆっくり休んでくださいね〜明日はバイト遅いから夜大丈夫なんで」
「うん、わかった」
気を使ってくれたんだろう
おやすみなさいと言うベッキョンくんの表情はとても優しかった
どうしたら私はベッキョンくんやチャニョルくんと気後れしないで話すことが出来るんだろう
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K(プロフ) - ゆなさん» ありがとうございます!他の作品もどうぞよろしくお願いします(^o^) (2017年2月20日 18時) (レス) id: 2082ebeeaa (このIDを非表示/違反報告)
ゆな(プロフ) - すっごいよかったです!! (2017年2月19日 12時) (レス) id: 16c6a36ad1 (このIDを非表示/違反報告)
K(プロフ) - たまさん» ありがとうございます、嬉しいです(;;)頑張って更新してくのでよろしくおねがいします! (2016年5月3日 9時) (レス) id: c9ee003b2a (このIDを非表示/違反報告)
たま - 今までみた作品の中で一番楽しく読めた気がします!べっちゃん最高です~~頑張ってください!! (2016年5月3日 1時) (レス) id: df63ab58aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2016年3月26日 12時