Chapter#0 ページ2
【とある日】から数ヶ月前の話。
少女は、中学生らしく学業に取り組んでいた。
今の良い成績を維持するために努力は必要以上に行う。
図書館で。本整理をして居た司書さんに褒められたりと、しながら意外にも集中は出来た。
中学生。今年、受験生。
彼氏でも作り、ウハウハな人生最後の中学生生活を楽しみたいのは山々だけれど、彼女は馬鹿じゃない。
……あれ?この人、何をした人だっけ?
頭が良くとも、人間は忘れる生き物だ。
歴史コーナーへと足を運ぶ。
時より、当たる冷房の風が長い黒髪を揺らす。
いくら、インターネットでも分からない事も有る。
テストの解答とか。
誰が誰を好きなのか。
危機察知能力とか。
本を見つけたのは幸いだが、彼女の159cm+-0の身長には届かない。
「陸奥宗光?其れとも、夢窓疎石かい?お嬢さん」
細長く大きい手は、その人名を題名にした分厚い本を二冊取る。
背後からその手の先の気配を感じる。
男性が動くたびに匂う、甘い香水の匂い。
正体は二冊本を抱えて、本に肩を預けて、少女の顔を見る。
その瞬間。目を輝かせる。
ひょろりと長い背丈に細身。蓬髪に、端麗な容姿は彼女を見つめる。
「睡蓮の様に美しければ、猫の様に上品な顔立ちのお嬢さんだ…!ビューティー!」
手を握られる。彼女はやんわり振りほどく。
男性はふふふ、と笑って白衣を揺らす。
「安心したまえ。君は美しいが、今は守備範囲外だから。今はだけどね。
私は、□□□大学で教授を勤めているよ。意外とイイ身分だから、手は出さないから」
はい、本。勉強頑張ってね〜と大学教授さんは去って行った。
「どっちも、違うんだけどなぁ」
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作者名:園宮雨 | 作成日時:2016年12月16日 21時