【A3!】【碓氷真澄】貴方は運命の人じゃない。【茅ヶ崎至】 (ページ6)

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5°無慈悲な現実ページ6

私の歓迎会も終わって、お風呂も入った。
そして今は、自分の部屋で宿題している。

『うーん…ここ、どうするんだっけ…』

数Ⅱの応用問題で、動きを止める。
確かここ、さっきの公式を使うんだっけ？うーん…

『…お兄ちゃんに聞こ』

教科書を読むより、お兄ちゃんに教えてもらった方が絶対覚えられそうだし。
ていうか、私がお兄ちゃんの言葉を忘れる事なんかあり得ないし。

△▼△▼

『たしかお兄ちゃんの部屋は103号室だったよね…』

103…103…あ、此処か。
ドアを開ける前にノックを…

…しようと思っていたら、中から音が聞こえる。

ほんの小さな、下手したら聞こえないぐらいの音で。

『何か、ガサゴソしてる…？』

気になって、そっとドアに耳を当てる。

≪＿＿っ！至さ＿＿＿＿≫

≪なーに？監督さん＿＿＿≫

≪＿＿＿＿＿＿＿＿≫

『～っ!?!?』

持っていた問題集やらノートやらが、バサバサと音を立てて落ちる。

どうして、嘘だ、嫌…

＿＿＿＿聞きたくない！

耳を塞いで、その場から逃げる。

…けど、すぐそこで立ち止まる。

そして、また、思い出してしまう。

≪んっ！至さんっ、私、もう…っ≫

≪っ、なーに？監督さん。もうおしまい？≫

≪あっ、やだ、またぁ…っ≫

甘い声、荒い息づかい、何かが軋む音、

何度も脳裏によぎって、

それら全てに、拒絶反応が出て、

『ふ、…っうぅ…！』

涙が、嗚咽が、止まらない。

私の10年以上の初恋は、
あっけなく、終わりを迎えた。