「髪の匂い」 ―宇髄side― ページ49
廊下でたまたま会った派手頭の我妻に次の準備を手伝わせる
「ちょっとちょっと重すぎじゃない!?」
量としてはそんなにないが美術の本だ、一冊一冊に重さがある
「男ならこれくらい持てるだろ」
「ムキーッ! これだから筋肉ダルマの考えは発想まで筋肉論か!!」
「んだとぉ〜?」
「あいただだ!!」
我妻の頭をぐりぐり挟んでいたら
「!! お前この匂い……」
コイツの髪からAと同じシャンプーの香りがしたことに、俺は派手に驚いた
正直驚きすぎて固まりかけた
「はい!?何か言いました!?」
俺の心境をよそに当の本人は未だにぎゃーぎゃー騒いでいる
(……どういうことだ?)
気になってしまう
どうしてお前がこのシャンプーの香りを纏っている?
こんな女物のシャンプーの香りをこいつが好んで使うと思えねぇし、今までコイツからそんな香り一度もしたことがない
なんだ、なんなんだ
問いただしたい
このシャンプーは一体どこで使ったのか
俺の脳裏にはAの存在しか出てこない
(ッ…ダメだ、静めろ…この感情をッ)
蓋をあけてはいけないよう、今までもずっとそうしてきた
何度か深呼吸をして色々ろ煮えくり返りそうな感情を制御する
「あのー…宇髄先生?どうかしたんですか??」
「……いや、なんでもねぇ」
取りあえず今日はこれ以上コイツに関わるのは危険だ
色々な意味で
「俺はこの絵具たち持っていくから、お前はその教材運んでくれよ」
「あ、はい…」
それだけいうと我妻を残し、俺はひとまず先に準備室を出る
「……っぶねー」
Aと同じシャンプーを纏っているアイツが
一瞬でも
"憎い"と
そう、思ってしまった
「何やってんだ俺は…」
ただ髪の香りを嗅いだだけで、嫉妬心に心を奪われかけた
あのままあそこにいたら
本当に我妻を殴ってでも問いただしていただろう
だってそれは
Aの家に泊まったとしか考えられない
つまりは "そういう仲" って、ことだろ?
「………ハッ」
自分のことながら呆れちまうな
いい年してよぉ
(嫁貰っても、俺はまだまだガキだな)
―…Aへの"特別な感情"を消し切れないなんて
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作者名:倉狩莉緒菜 | 作成日時:2020年4月26日 16時