「可哀そう?」 ページ20
*
「俺と付き合わない?」
「…へっ?」
(我妻先輩……?)
突然の告白になんとも間抜けな声が出てしまう
いやでもこれは普通に驚いてしまう案件だよね…?!
(だって、我妻先輩の好きな人って……)
「ねっ禰豆子ちゃん……は?」
大体なんで急に…そんな……
「あーごめん、誤解させる言い方した」
「??」
もうよくわかんない……
「寂しい、でしょ?」
「!!」
「心も体も、何もかも」
「なんで…」
「だからその寂しさを埋めるために、俺を使ってくれって言いたかったんだ。そのために一番近いのが付き合うことかなって…思ったんだけど」
「そんな事出来るわけないじゃないですか!!!何言ってるんですか?!!私のことバカにしてるんですか!!!??」
そんな!!!私のために先輩を使う…!?
ありえないありえないありえないありえないありえないッッ!!!
ていうか自分の恋愛放り投げて、私のために自分犠牲にするとか!!我妻先輩は何を考えているの?!
せっかく我妻先輩は!!!!
「ちゃんと恋愛出来るのにッ」
ちゃんと……ちゃんと……っ!!!!
私が出来ない恋を成功させられるかもしれないのに…っ
「私ってそんなに可哀そうな女に見せますかッッ!!!?」
あぁもう こんなの八つ当たりだ
「…違うよ」
「…!!」
ふわっとした香りが鼻を掠めた
これはセーターから香る柔軟剤の匂い
優しく、あたたかな香り
それが今 私を優しく包み込んでいる
そう
「我妻先輩…!?」
我妻先輩の セーターの香り
私は抱き締められている
彼に
「俺がほっておけないから、そう言ったんだよ。そんな痛々しい音鳴らしてるAちゃんを、ほっておけないから
この音に気付いてあげられるのは俺だけだから……」
「!!!」
「Aちゃんにとっても悪い話じゃないと思うよ
なんか寂しいなぁとか、誰か傍にいてほしいなぁとか、そんな気分の時に一体誰が傍にいてあげられる…?
Aちゃんのその恋愛は誰かに話せる内容じゃない…でも今日みたいに気持ちが爆発した時、だれが抑えてあげられる??」
「そ、れは…」
「そんな時俺なら、俺の耳なら、それを察して助けてあげられる」
「ね、悪い話じゃないでしょ?」って耳元で囁かれるから
「〜〜〜っ」
また……魔が差した。
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作者名:倉狩莉緒菜 | 作成日時:2020年4月26日 16時