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「彼女に感じる壁」−善逸side− ページ16

その誘いの場所には俺はもちろん、アオイちゃんやカナヲちゃんもいるわけで

同じ女の子がいたためか、俺たちのグループに馴染むのにそんなに時間はかからなかった……けど




(なんていうか、イマイチ心を開いてくれていない感じがなぁ……)




彼女の音を聞いていても、特に不満という音はしていないし寧ろちゃんと楽しんでいるよう…なんだけど、それさえ作られた感情というか





宇髄さんの妹と知って、あんな派手好きチャラ〜いモテ男の妹とあればド派手な元気もりもり〜な感じをイメージしてたからちょっと拍子抜けするし



…どうしても踏み込ませないような、たった一枚の壁が越せない感じがしてもどかしいと思う。




けどそんな彼女が


一度だったけど、たった一度だったけど、心の音を乱した時があった。




俺がAちゃんに"好きな人がいるのか"どうかの質問をした時だった






(あの時の音ときたらもう……)





その時だけAちゃんの本当の心に触れられた気がした。




それにその質問をされたときの顔も忘れられない





あれからそのことでずっとAちゃんのことが気になっていて、それからこの放課後


担任に雑用を頼まれた帰りで、音楽室と美術室のある階を横切った時




「……歌?」





音楽室からアコースティックギターの綺麗な音色と歌声が聞こえて、俺の足は自然とその音の方向へと進んでいた





「!!」



少しだけ音楽室の扉を開けて隙間から誰が演奏しているのか覗いてみれば、そこにいたのはAちゃんではないか




(いい音色だな…歌声のピッチもこの曲にとてもあっている)




耳のいい俺でも心地よい音色だと感じれるほど、その曲はとてもいい曲で、その曲に合うほどの歌のうまさを持っているAちゃんを素直にすごいなぁ…と感心していた時だった



最初のうちは確かに良いなぁっと、そう感じていたのに……





(……あれ、どうしたんだ…?)




一曲目が終わって軽い息継ぎをして入った二曲目の歌は



先程よりも小さな声で


ひっそりと、まるで自分の心の中で大事にしまい込むように歌うかのような








……そんな風に聞き取れるような音だった



いや、それだけなら…まだいいのかもしれない






完全に"(ソレ)"が特定の誰かに宛てたラブソングだということは明白なのに





(ラブソング歌う人の音じゃねぇだろこれ……)




苦しくて、もがく様な



幸せな音とは程遠く




…首を絞められている感覚だ

「全てが繋がった」−善逸side−→←「彼女との出会い」−善逸side−


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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , 倉狩莉緒菜   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:倉狩莉緒菜 | 作成日時:2020年4月26日 16時

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