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昼間顔を合わせると、気持ちは舞い上がって、
夜にひとりベッドに寝転べば、連絡先すら知らないこの薄っぺらい関係に悲しい気持ちがこみ上げて、どうしていいか分からなくなる。
通うのを止めればいいと言われたらそれまで。
誰かに止めて欲しい。
でも、きっと言われても止められない。
不安と痛みが心を埋め尽くすのに、
それによって全部が上手くいかなくなってしまっているのに、
そのスキマで私は恋をしている。
･
「大丈夫？」
向かいに座るマミちゃんが、 カルボナーラを食べながら私の顔を覗き込んだ。
「ん？」
「なんか、目赤い」
「あ、ちょっと寝不足で……」
「決まんないの？テーマ」
「…うん」
「大野先生は何て？」
「好きにしろって………」
「ふふ(笑)言いそう。言ってる顔、目に浮かぶ。」
一番仲良しのマミちゃんにすら、私は二宮先生のことを話せずにいた。
だって、
やめときなって言われるに決まってる。
それに
万が一…万が一、
マミちゃんが、一緒に行きたいなんて言い出したら、私は断れないから。
ふたりきりの時間を誰にも知られたくない。
誰にも邪魔されたくない。
一丁前な顔をして膨らむ独占欲も、そろそろ破裂してしまいそうだ。
･
「こんにちは」
「お、きたきた」
「コーヒー飲みます？」
「よろしく」
何やら書類に目を通していた二宮先生は、私の姿を確認すると目尻に皺を寄せた。
「…はい」
「サンキュー」
先生の本棚から一冊の本を手に取り、ソファに座る。
…ちょっと、眠い
最近寝不足気味だったからな……
本を読んでいる振りで先生の仕事をする姿を盗み見ながら、私はいつの間にか
眠りに落ちてしまっていた。
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