【11】 ページ40
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ーーーー…私もいつか。
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和也「はい水」
「…ありがとう」
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私もいつか、あの子のように捨てられるのだろうか。
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「…よかったの？本当に」
和也「最近独占欲？っていうのが多くてねー、周りに言いふらしてたりしてたらしいのよ」
「…」
和也「挙げ句の果てに週刊誌にリーク？(笑) そろそろ捨てなきゃと思ってたから丁度良かった」
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この人は病気だ。
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「…ねえ、和也」
和也「ん？」
「私のこと好き？」
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私の手からペットボトルの蓋が滑って
コロコロ…とカーペットの上を転がっていき
コトン、と微かな音を立てて壁にぶつかり倒れる。
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和也「…好きだよ？」
「嘘」
和也「…(笑)」
「私のこと、からかってるの？」
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息つく暇もない。
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和也「そうだよ」
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雨音がする。
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「なん…」
和也「俺はAを困らせないように配慮してあげてんのよ？」
「…何言って」
和也「だってあなたには帰るべき場所がある。守るものがある」
「…」
和也「本気になっちゃったら“Aが” 困っちゃうでしょ？」
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ねえ？
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クックックッと笑うこの男は悪魔だ。
私のためと言いつつ、それは自分のため。
でも反論ができない私。この男はそれを分かっててそう言ってる。
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「あくまで」私を労ってる素ぶり。
「あくまで」私が決断した誘い。
「あくまで」私のため。
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するり…と和也の手が私の頬を滑って
触れるだけのキス。何度か唇を啄ばまれ
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和也「…可哀想に」
「…」
和也「俺なんかに捕まっちゃって」
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思ってなんかいないくせに。
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和也が私の薬指にそっと口付ける。
そしてまた時間がやってくる。
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じゃあね、A。またね。
決まり文句を言われて私は部屋を出る。
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エレベーターを待って、エレベーターが開いて
降りてきたのは芸能人じゃなさそうだけど可愛らしい女の子。
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私が入れ違いにエレベーターに乗って、扉が閉まる直前
またその子は扉の向こうに消えていった。
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