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「ところで、ドラルクさんはどこの国の吸血鬼なんですか?」

「ん?ああ、私はルーマニアだ。血はルーマニアと日本のハーフですがね。」

‌ ‌俺は思わず身を乗り出した。ドラルクさんは砂になる。

‌ ‌最初は驚いたが、どうやら死にやすいらしい。

「もしかしてトランシルヴァニアとか!?」

「おや!ご存知とはお目が高い〜。そうとも私は真祖にして無敵の吸血鬼ですから!」

「じゃ、じゃあこれご存知ですか!?これと、これと……あぁ、あとこれも!」

‌ ‌俺は興奮して、スマホの画面をドラルクさんに突きつけた。勢いに押されたドラルクさんは、自信満々な顔を少し崩して、あぁ、とかぶりを振る。

‌ ‌ちなみに俺の勢いにビビってまた砂になった。


「原本が実家にあったような。……こっちは…うーん、お父様が持ってたかな。にしても、こんなマニアックな……よく見つけましたな?」

‌ ‌ジョンくんと共にスマホ画面を見るドラルクさんは、少し苦い顔をして、そして懐かしそうな顔をする。

「まぁ、気合いで。良かったぁ、中々無くて……もうルーマニアまで行くか、気合いで取り寄せるかしか無いかなって思ってて。良かったら今度読ませてください!」


‌ ‌ふーむ。と、少し言い淀むドラルクさん。コケた頬を滑る指先の手袋はピッタリサイズ。

「実家から持ち出すとなるとちょっと難しいな、まぁまた今度の機会に。」

「そ、うですか……。流石にルーマニアの実家に、ドラルクさんと言え、書籍を取り寄せるのは少し難しいですよね……すみません、出過ぎた真似を。」

「出 来 る が ???真祖にして無敵を舐めないでもらいたい。こっちの書籍はすぐ取り寄せましょう。」

‌ ‌俺の肩をガッ、と掴み、今度は向こうが至近距離に近付いてくる。(こめかみ)には僅かに青筋が浮かぶ。


「やったー!マスター、ドラルクさんにホットミルク!ジョンくんにココア!」

「え、それ次回に貯めといてください。ジョン、1日1杯ね。」

「ヌン……。」


‌ ‌俺はホクホクとした気持ちで手元のコーヒーを喉に流した。

‌ ‌いやー、最初はびっくりしたけど、まさかそんな本格的な吸血鬼だったなんて。古き血の、かなり由緒正しい血統だろう。

「……すっげぇ嬉しそう。」

「私が言うのもなんだが、こうも存在を喜ばれると畏怖欲が満たされるな。」

「気持ちよくなってんじゃねぇ!」

‌ ‌ドラルクさんは塵になる。ロナルドの拳で何回死んでるんだろう。


*

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作者名:404 | 作成日時:2023年9月25日 17時

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