5話 ページ5
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家の方が用意してくださった夕餉を食べながら、煉獄さんと今回の任務について話し合っていた。
お互い情報を交換し合い、今後に役立てる目的もある。それに、柱から話を聞けるとなれば、自身の更なる実力向上にも繋がるかもしれない。
「なるほど。それで、今回の被害数に関しては、既にAは知っていたか」
「はい、口に出すのも、憚られますが。
……147名です。
麓の村は不幸にも土地が肥えていて、郊外にしては、人口も多かった。12年前からぽつぽつと被害は出ていましたが、村ごと襲撃されたのは初めてです。
今回のような土地癒着型の鬼は、一気に莫大な数の人間を襲うことが多い。私が二年前に任務で倒した西地方の鬼もそうでした。しかしそれ故に、発見もされやすい。今回のことで、おそらく対応がより的確に、精度も上がるかと」
記憶しているだけのことを伝えると、煉獄さんは箸を止めて、私のことを驚きの表情で見ていた。そこには驚きのみならず、少しの感嘆もあった。
「すごい情報量だ。鴉から伝達されていたのか」
「いえ、ただ単に私が覚えているだけです」
「む、！？君は、まさか、これまでの任務内容と戦闘、鬼の異能まで、全て記憶しているのか！」
「……？そうですけど」
そう言うと、煉獄さんは目を丸くした後、ずい、と私の目の前に体を乗り出して、口角をきゅっと上げた。整った顔が眼前にあって、体が固まる。
「それだけの量を覚えるなど、そうそう容易にできることではない！元々記憶力に長けているにしても、鍛え上げられているのだな！A、君はすごいな！」
「や、そんな、褒められるようなものではないです」
「何故だ？俺にはできないし、素直に尊敬するが」
そのままの姿勢で更に近づかれ、私の心の方が限界を迎えたため、そっと後ろに下がる。彼は射抜くような視線で見つめ、私の返答を待っていた。
目線を少し下に移し、正座した足の上の拳を握る。
「私が覚えていたいのは、そんな事じゃないんです。心から覚えているのは、決して忘れられないのは。
一緒に任務に行ったり、一緒にご飯を食べたりした、隊士たちの名前や、生い立ちや、彼らが話してくれたことです。絶対に忘れない。死ぬまで記憶し続ける」
唇を噛み、握った拳が震えた。
彼らはついその時まで生きていたのだ。一緒に笑って、夜になるまで他愛ない話をして。でも、生き残ったのは、私だけ。
俯いた私の頭に、優しくて温かい手が乗せられた。
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かんみ(プロフ) - だいふくさん» だいふくさん！！毎作愛情が湧き上がってるんですけどこの作品は思い入れが特にあるので是非堪能してやってください(泣)いえ、私なんぞまだまだです、精進します...！！ありがとうございます！ (2021年1月12日 19時) (
レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - 続編楽しみにしています！！本当に、夢主と煉獄さんの関係がなんともいえず儚く美しくて、話も切なくて既に泣きそうです。かんみさんの語彙力と文才が素晴らしすぎて毎回感動しています。何度でもいうけど大好きですー！！ (2021年1月12日 13時) (レス) id: 914794939f (このIDを非表示/違反報告)
かんみ(プロフ) - ヒカルさん！コメント嬉しいです！またお会いできて舞い上がってます〜！構成の都合上、煉獄さんと仲良くなるのがゆっくりですが段々糖度あがっていく予定です(ふふ)。 (2021年1月10日 17時) (レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
ヒカル(プロフ) - 本当にかんみさんの作品好きすぎて、更新されるたびにキュンとニヤニヤが止まらないです。笑、これからも頑張ってください＾＾ (2021年1月10日 14時) (レス) id: f04d7ddf7d (このIDを非表示/違反報告)
かんみ(プロフ) - ユリアさん» 初めまして。ユリアさんコメント嬉しいですー！私も作品読ませて頂いてます(歓喜)。胸がいっぱい...、ありがとうございます！頑張りますー！ (2021年1月9日 13時) (レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かんみ | 作成日時：2021年1月1日 16時
