2話 ページ2
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「……はい」
気配がしなかった。こんなに足元には草が生えているのに、足音一つしなかった。
そして驚くほど声が大きい。鼓膜に注意と言われた意味がよくわかる。炎のような色味の髪の毛と瞳をしていた。確かにギョロギョロしているような気もするが、どちらかと言えば眼力が強いと言った感じだ。
炎そのもののような人がいた。
「うむ!名は何といったか!!」
「
「あまり聞かない苗字だな。俺は炎柱、煉獄杏寿郎!よろしく頼む!!」
「…よろしくお願いします」
少し、この人は苦手かもしれない。会話だけで、じりじりと肌を炙られるような圧迫感。ついてこい!と言われ、その圧倒的な速さになんとか着いていく。
炎のような羽織だ。彼にぴったりの。
走りながら、急にこちらを振り向いて話しかけられた。少しも足取りは乱れていない。
「思い出した!不死川と同期で仲が良いと噂の、風の呼吸の使い手だな!!ということは、年上か!」
「はあ」
「俺は
随分可愛らしい容姿をしているから、年下だと思っていた!ははは!!と笑いながら言われた。
気軽にとは言っても、なんと呼べば良いかわからず、とりあえず、煉獄さん、と声をかける。任務内容は鴉から聞いていた。
報告によると、その地区担当の隊士が見回りに来た時、麓の村の人間が、ごっそり丸々消えていた。その隊士も鬼の気配を察知したが、その夜のうちに姿を消してしまったらしい。…死んでしまったのか。
おそらく、下弦かそこらの力をもつ鬼の仕業だろう。
話している間にも、段々と山奥に入ってきているようだ。完全に日没して、空気が少し澱んできた。近いのだろう。
煉獄さんは周囲に目を走らせ、その瞳を左右に流している。その姿には、隙が一切ない。
私も、足でまといにならないよう、戦わなければ。
柄に手をかけ、愛刀に、よろしく頼むよ、と囁いた。
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かんみ(プロフ) - だいふくさん» だいふくさん!!毎作愛情が湧き上がってるんですけどこの作品は思い入れが特にあるので是非堪能してやってください(泣)いえ、私なんぞまだまだです、精進します...!!ありがとうございます! (2021年1月12日 19時) (レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
だいふく - 続編楽しみにしています!!本当に、夢主と煉獄さんの関係がなんともいえず儚く美しくて、話も切なくて既に泣きそうです。かんみさんの語彙力と文才が素晴らしすぎて毎回感動しています。何度でもいうけど大好きですー!! (2021年1月12日 13時) (レス) id: 914794939f (このIDを非表示/違反報告)
かんみ(プロフ) - ヒカルさん!コメント嬉しいです!またお会いできて舞い上がってます〜!構成の都合上、煉獄さんと仲良くなるのがゆっくりですが段々糖度あがっていく予定です(ふふ)。 (2021年1月10日 17時) (レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
ヒカル(プロフ) - 本当にかんみさんの作品好きすぎて、更新されるたびにキュンとニヤニヤが止まらないです。笑、これからも頑張ってください^^ (2021年1月10日 14時) (レス) id: f04d7ddf7d (このIDを非表示/違反報告)
かんみ(プロフ) - ユリアさん» 初めまして。ユリアさんコメント嬉しいですー!私も作品読ませて頂いてます(歓喜)。胸がいっぱい...、ありがとうございます!頑張りますー! (2021年1月9日 13時) (レス) id: f3524979ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かんみ | 作成日時:2021年1月1日 16時