始まる２つの恋物語【テニプリ】鳳長太郎×忍足侑士プロローグ編 (ページ13)

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Episode of OSHITARI ３ページ13

A「！...け、結構です」

忍足「アカン。風邪引いてまうで」

・

問答無用で黒のハンカチが頭の上に乗り、優しい手付きで髪の毛を拭かれる。

A「っ...じ、自分で拭けますっ...」

私がハンカチを掴めば、先輩の手が離れ

私は黙って制服や鞄を拭き始めた。

A「クシュン！」

忍足「...ほら、言わんこっちゃない。

ちょっと待っとき」

鞄を持って忍足先輩が走り出すと

向かい側の屋根の下にある自販機に向かって行った。

・

そしてすぐに２人分の飲み物を持って戻ってくる。

忍足「はい...ココアでええか？」

A「...ありがとうございます」

そして、また濡れてしまった忍足先輩の鞄を借りたハンカチで拭けば

忍足「もう、そのハンカチも使い物にならんなぁ...」

そのハンカチを取り上げようとしたので

・

A「...これ、私に預けてもらえませんか？

洗って返します」

そして、ハンカチを手にしたまま手を引っ込めた。

忍足先輩は驚いた表情を浮かべ

忍足「いや、ええで？」

と、取り返そうとする。

A「お礼ぐらいさせてください。

飲み物まで貰ったし...」

そこまで言えば、忍足先輩も手を引き

忍足「...ほうか。なら、お言葉に甘えさせてもらうで」

またあの艶やかな笑みを浮かべた。

私が目を逸らすと

忍足「ありがとさん...」

今度は大きな手が、私の頭に直接乗る。

A「っ...」

・

その時、雨に濡れて冷えきった体が

ほんのり熱を帯びるのを感じた。