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115話  疑問 ページ20

久しぶりに見た彼の感情的な姿にビクッと肩が揺れる。






思わず、俯いたままだった顔を上げ彼を見た。







目隠しで正確には分からないけど明らかに顔を歪めていて、


そこには戸惑いと僅かな怒りが含まれているように感じた。











五条「俺もまだ、…分かってねえんだよ…」







今にも消えそうな、耳を澄ませてやっと聞き取れるくらいの声。







『…、ごめんなさい。』






そう言うしかなかった。



彼もいきなりのことに戸惑っているはずなのに…



ただ謝ることしかできない自分に心底腹が立つ。




彼も歯切れを悪くさせながら、少しの返事をするだけ







五条「…あ、いや…悪い、」




『いえ…』









五条先輩が謝ることではない…そう言おうとしたのに口が思ったように動かない。







夏油先輩は生きていたのだろうか




様々な憶測が脳内を飛び交う中、ふとそんな疑問が浮かぶ




私は去年の百鬼夜行では京都に出ていた為、彼が実際に亡くなった姿を見ていない。

東京に帰った時に五条先輩に告げられて初めて知った。

もし、本当に生きていたのなら…辻褄は合う…




彼を殺したであろう本人にこんなことを聞くのは気が引けるが…



















『夏油先輩が…生きている、という可能性はないですか、?』






意を決してそう言うと、彼は分かりやすくその端正な顔を歪める。






五条「………俺が殺しそこねたとでも?」








そして不機嫌丸出し、威圧的な声でそう言われる。



あぁ…怒っている。











『あ、いやそういう意味じゃないんですけど…』






私は慌てて彼の言葉に訂正をしたが、その声も次第に小さくなっていく。










『あの、私去年はその場にいなかったのでよく分かってないんですけど…夏油先輩の遺体って五条先輩が、?』




それでもこれだけは聞いておこうと思い、たずねた。





五条「、い…や、上の連中に頼んだけど…」






今まで遺体処理は解剖をするということもあり、硝子先輩が行っていた。それを上に頼むということは、




五条先輩なりの、気遣いか…




きっと硝子先輩に同期である夏油先輩の遺体を処理させたくなかったのだろう。

116話  疑惑→←114話  残穢



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美弦(プロフ) - graywolf さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいですっ!! (4月7日 11時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
graywolf - 更新、応援しています‼︎この作品大好きです(°▽°) (4月7日 6時) (レス) @page29 id: c5ad504755 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - k.o_1010さん» うわぁ!ありがとうございます、嬉しいです! (3月26日 15時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
k.o_1010(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます (3月21日 17時) (レス) id: 56978ecf63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美弦 | 作成日時:2024年2月1日 15時

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