109話 ・ ページ11
新一「もういないって…」
『言葉通り、いないの。』
その人は、去年死んだんだ。
そう言うと、周りの空気が一気に張り詰めた気がした。
2人も話さなくなる。
『呪術師にもいい奴と悪いやつがいてね。私達みたいな人を救うために力を使う者もいればその逆もしかり、力を悪用する者もいる。』
2人は、私の話を聞き続ける。
少し顔が険しくなったから、大体の予想はついたのかな…
『そういう奴を呪術界では"呪詛師"っていうんだけど、……その人は、学生時代に100人以上の一般人を殺し高専を追放された。』
新一「100…人…」
赤井「……」
信じられないという顔。
当たり前か。アメリカでもこんな数なかなか無いだろう。
『"最悪の呪詛師"って呼ばれててね。追放されたその瞬間、処刑対象になった。
日本に4人しかいない特級呪術師の1人なもんだから強くてさ…
………でも、同じ特級呪術師の人に殺されたよ。』
誰が殺したのかは、敢えて言わなかった。
言うのを躊躇った。
私が人に言うのは何か違うと思ってしまったから。
新一「……仲、良かったの?」
…、そういう遠慮のない態度…嫌いではないよ。
『…そうだね、腐っても先輩だったし…任務とかも一緒なこと多かったから。』
新一「……辛くなかったか、?」
辛い、か…
それすらも感じないぐらい、
罪悪感でいっぱいだった
そんなこと、口が裂けても言えないけどね。
『そうだね…辛くないわけではなかったけど、それよりも、私には辛いことがあったから』
何かを感じたのか、さっきと違ってあまり聞いてこない。
でも、やはり彼らの目には知識欲でいっぱい。
そんな彼らを見ていると思わず笑ってしまった。
『教えてあげようか?』
そしてそのままの笑顔で彼らにそうたずねた。
未だ返事をしてくれないけれどなんとなく聞きたいんだろうというのは分かる。
『夏油先輩が呪詛師になる前………高2の17歳の時に、同期が1人死んだの。』
2人の息を呑む音が聞こえた。
『呪術師はね、常に死と隣り合わせなんだ。警察やFBIと一緒のように思うかもしれないけど、私達が対峙するのはあくまで"呪い"。言葉を喋るのも愚か、…まともな会話なんて出来たもんじゃない。』
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美弦(プロフ) - graywolf さん» ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいですっ!! (4月7日 11時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
graywolf - 更新、応援しています‼︎この作品大好きです(°▽°) (4月7日 6時) (レス) @page29 id: c5ad504755 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - k.o_1010さん» うわぁ!ありがとうございます、嬉しいです! (3月26日 15時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
k.o_1010(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます (3月21日 17時) (レス) id: 56978ecf63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美弦 | 作成日時:2024年2月1日 15時