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20話  ・ ページ23

『…………………』



「…………………」



「…………………」



「…………………」








なんだこれ…



かれこれ発車してから数十分は経つが、未だに誰一人口を開かない。



ウォッカは、ジンの言う通り車を運転するだけで



ジンはと言うと、私の腰から手を離さない。それどころか、心做しか自分の方に私を寄せている気がする。



ベルモットも口元をニヤけさせながら、横目にこちらを見ているだけ。



ふと、そんな彼女を見ると視線がぶつかった。



ベルモットは特に驚く様子も見せず、更に笑みを深める。



ちょっとドキッとしました。



思わず、その表情に見とれていると


腰に何か力が加わって身体が思い切り左に動いた。





『ぐぇ…』





あまりの一瞬の出来事に、情けない声を上げてしまう。



そんな声を私に出させた相手は誰かと言うと、

言わずもがなジンである。




"気がする" ではなく、まじで自分の方に寄せてたんだな、私のこと…






『……、あの…離してくれたりとかって…?』



ジン「あ?」



『ナンデモナイデス』









こわい。


この空気で口を開いた私は本当にバカだ。


聞いてくれるはずもないのに、何を言っているのだろうか。





軽く自己嫌悪になりながらも、未だに私を頑なに離そうとしないジンさん。


そんな彼を私はバレないように見上げてみた。




逆光で少し分かりにくいけど、街灯によって照らされる綺麗な銀色の髪。


様々な光を吸収するかのように光る翡翠色の瞳。


一般人にしては、おかしいぐらいに整いすぎた顔立ちに肌質。


全てが一級品、まるで造形物のようだ。





しかし、そんな外見とは不釣り合いなほど


彼は冷たい空気を纏っている。





私を拉致した男は殺したのだろうか。


私も殺されるのだろうか。





というか、私って


この人と寝たはずなんだけど…?


あれ?しかも逃げてきちゃったはずでは……??





でも、再会(?)しても彼は何も言わなかった。


私と目があってちょっと驚いてた気がしなくもないけど…




思考を巡らせて巡らせまくってだどり着いた結論










  【ワンチャン、忘れてんじゃね?】







である。


そう。


彼は私と会っても何も言わなかった。


そして今も私と目を合わせようとする素振りすら見せない。


つまり、これは

酒の勢いで床を共にした女なんて覚えていないということだ。


未だに私から離れてくれないのはきっと逃さないようにするための保険だろう。

それかいつでも殺せるようにするための……

駄目だ自分で言ってて悲しい

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美弦(プロフ) - そう言っていただけて光栄です!ありがとうございます (5月7日 13時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
ynz(プロフ) - はじめまして。私が読みたかったお話です(^^) (5月7日 4時) (レス) @page28 id: ccc380c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - ありがとうございます!日々、コメントが励みになっております笑 (3月31日 10時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 美弦さん» ✉️。此方の作品も最高に面白いです!お久しぶりです、あの失礼な可能性がありますが久しぶりにボードで会話しても平気ですか?これからも更新応援してます💝 (2月24日 11時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - 鶯 御飴さん» ありがとうございます!嬉しいです😊完結までまだ時間がかかりますが是非楽しんでください! (2月23日 17時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美弦 | 作成日時:2024年1月30日 13時

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