12話 恐怖 ページ14
私が全く話せる状況ではないことに気づいていないのか、
目の前の男はあろうことかその鉛玉を私に向けて放った。
パンッと鋭い嫌な音があたりに響く。
『ッ…!!』
それとほぼ同時に二の腕に少し痛みを感じた。
目線を下げると床に赤い液体がポタポタと落ちていて、撃たれたのだと理解するのにそこまで時間はかからなかった。
脅しじゃないんかい
まさか、この世界で最も安全だと言われる国の1つである日本で発泡するだなんて思わないじゃないか。
ちらりと脳裏に黒い服を着た集団が浮かんだが、あれは多分例外というか…
「ほら、死にたくねえだろ?早く言えよ、なぁ。電話して助けに来てくださいって言えりゃあ完璧なのになぁ?」
助けに来てくれるんじゃねえかァ?
層言いながら私の頬を乱暴に片手で掴み、無理やり自分の方へ向かせる男。
いや、だからっ…
喋れないんだよっ!!!あと痛い!!
なんて脳内で考えているが、残念ながらそれを口に出せるほどできたタマじゃない。
私は、あくまでもただの一般OL。
こんな殺しも厭わないような犯罪者に口答えできるほど肝は座ってないのだ。
そのため私はこの男に無抵抗で掴まれている。いや、無抵抗は言いすぎた。睨んではいるけども。
それと、こいつらは絶対に勘違いしている。
何故私があのジンの居場所を知っていると思うのだ。
何故私が電話しただけでジンが来ると思うのか。
"何故"、
それを追求したらきりがないレベルで。
ニタニタとしながら私の顔を見ている男に、私は不快感と恐怖でいっぱいだった。
ほぼ無抵抗の人間をいたぶるのがそんなに楽しいか
そんな嫌悪感を抱きながら、男を睨もうとしたがそれは私の体が良しとしなかった。
意志とは相対し、私はただ目の前の男の為すがままにされているだけ。
[対応を間違えれば殺される。]
私だって馬鹿ではない。
ここでこいつに歯向かえば一瞬でこの世とおさらば。それぐらいは分かる。
これは多分、自分の体の無意識の拒否反応。
体が言うことを聞かないのは、この男がただの犯罪者じゃないと思ったからだ。
黒の組織の人間とか止めてよ…?
コードネーム持ちとかだったら私は今度こそ死ぬわ
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美弦(プロフ) - そう言っていただけて光栄です!ありがとうございます (5月7日 13時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
ynz(プロフ) - はじめまして。私が読みたかったお話です(^^) (5月7日 4時) (レス) @page28 id: ccc380c8c6 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - ありがとうございます!日々、コメントが励みになっております笑 (3月31日 10時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
マニ。(プロフ) - 美弦さん» ✉️。此方の作品も最高に面白いです!お久しぶりです、あの失礼な可能性がありますが久しぶりにボードで会話しても平気ですか?これからも更新応援してます💝 (2月24日 11時) (レス) id: 861062e758 (このIDを非表示/違反報告)
美弦(プロフ) - 鶯 御飴さん» ありがとうございます!嬉しいです😊完結までまだ時間がかかりますが是非楽しんでください! (2月23日 17時) (レス) id: f5d70b86e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美弦 | 作成日時:2024年1月30日 13時