6話 ページ8
「よぉ、久しぶりだな」
彼は真っ直ぐに私を見下ろしてきた。
お陰で前髪で見えづらかった目がはっきり見える。
うわ、最初会った時はちゃんと顔見てなかったから気づかなかったけど、この人信じられないほど顔が整ってる…
めっちゃイケメン
彼の顔があまりにも整いすぎていて、硬直していたが ん? と不信感を抱いた。
何にかと言うと……
『あなた、なんでここにいるんですか、?』
何故、道で出会ったこの男性が東都大学に来ているのかである。
自分もこの大学に通っているなんてのは、偶然が過ぎる。
実に怖い。
どれぐらい怖いかと言うと
南海トラフ巨大地震が来て、西日本だけでなく半割れになって東日本まで被害を受けることぐらい怖い。
日本の首都が無くなったら、もう世界の先進国の植民地になってしまう。
うん、怖い。
そんなバカなことを考えていると、いつの間にか彼の端正な顔が目の前まで迫ってきていた。
いや、近い近い近いっ
自分の手を持ってきて、これ以上近付かないように彼の胸板を押す。
そして、彼から出た言葉。
「んなの、これ届けに来たからに決まってんだろーが。」
そう言って、目の前で薄い物体をペラペラと揺らしながら見せてくる。
『え゛っ…私の学生証…!?なんでっ…!?』
「お前が、朝歩道橋で落としたんだろ。」
『』
なんと、
私は今朝この人にぶつかった時に学生証を落としてしまったらしい。
それをわざわざ届けに来てくれた…?
ほんとにただの優しい人じゃん。
『え、あ、わざわざ…届けに来てくれたんですか…?』
尋ねると彼は、不機嫌そうに
悪いかよ
といってきた。
『いや、全然悪くないです。ほんと、本当にっありがとうございます!助かりましたぁ』
頭を下げてそう言う。
「おう。」
心做しか、彼も嬉しそうにしているように見えた。
気の所為かな…
64人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美弦 | 作成日時:2024年1月2日 21時