5話 ページ7
放課後、
放送で言われたように研究室に向かい、私は反省文を2枚書かされた。
逆にこれだけで済んで良かった。
自分の寝坊のせいで遅刻したんだ、
言い訳できるようなものじゃない。
結局、美波には1人でパンケーキを食べに行ってもらうことになった為、そのことに関しては本当に申し訳なく思っている。
先生に反省文を渡し終えた頃には、
もう5時になっていた。
帰りに何か買って帰ろうかと想い、廊下を歩きながら財布を出そうと鞄の中に視線をやる。
すると、内ポケットが空なことが少し引っかかった。
いつもなら、この中に学生証が入っているはずなのだが今はない。
『……………』
なんとなく嫌な予感がして、廊下だというのに周りなど気にせず鞄の中身を出した。
こういう時の嫌な予感とは当たるものだ。
鞄の中身を全て出したというのには肝心の学生証が全く見つからない。
となると、何処かで落としたということだろうか。
『ぅそでしょ…』
朝、家を出た時は内ポケットに入っていたはずだから、恐らく落としたのは走って大学に行っていた時。
2キロもある道のりを探すのは、
想像を絶するほどの地道な作業に違いない。
それに探したとしても見つかる可能性は低いだろう。
それだったら、学校に頼み込んで新しく作ってもらうほうが確実かもしれない。
様々な考えが脳内を駆け巡る。
取り敢えず、一通り道端探してみて…
交番にも聞いて…無かったら新しいの作ってもらおう。
最終的にこの案に至った。
『よし…』
そうと決まれば、行動は速いもので。
私は鞄に出したものを全て詰め直し、玄関へと向かった。
靴を履き替えて、校門の方を見ると
なにやら人影が見えた。
身長が大分高くて
遠目でも男性だと分かった。
周りの帰っているみんなも、あの男性のことをチラチラと見ているから、恐らくかなり顔面偏差値は高いのだろう。
誰かのお兄さんか、弟さんだろうか。
私には関係ないけど…。
なんて余所事のように考えていた。
そのままスマホを弄りながら、この男性の前を通り過ぎる。
のだが、それは叶わなかった。
【ぐいっ】
『ぇ、』
なぜなら、校門にいた男性に腕を掴まれたから。
思わず、彼を見る。
「よぉ、久しぶりだな」
そう言って意地悪く笑う彼に、
私は見覚えしかなかった。
『あ、…今朝、の…』
ヤクザではないけど怖い一般人が私に仕返しに来た件。
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作者名:美弦 | 作成日時:2024年1月2日 21時