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誰にかに名前を呼ばれた気がした...
「Aちゃん!!」
「...ん...」
ゆっくりと目を開ければ、そこには研二くん。
「おはよ、ソファーで寝てると風邪ひくよ??」
「...うん」
「松田ももう少ししたらくるから」
そう言いながら落ちかけてたブランケットを私にかけ直してくれるあたり、彼ってすごく紳士だと思うんだ。部屋にいい匂いが充満してる、クリーム系だ。
「シチュー??グラタンかなぁ」
「どっちでしょ」
「火をつけてる音がするから、しちゅー...」
うとうとして、寝てしまいそうなのを我慢しているとその様子を笑いながら研二くんはキッチンへと戻っていった。
扉が相手足音が聞こえる。足音で陣平くんだと判断できるようになったあたり自分でも怖い。リビングの扉をあけて入ってきた陣平くんは、そのまま研二くんへと買い出ししてきたらしいものを手渡すとまっすぐこっちにきた。
「...お帰りなさい」
口からこぼれたその言葉に、どこか違和感を感じたらしい彼は眉間にしわを寄せながらも、「...ただいま?」と疑問系で返してきた。
ソファーに座ってきたので、彼に膝枕をしてもらいながらテレビを見る。
サラサラと私の頭を撫でる彼の手に安心しながら、もう一度眠ってしまいそうだなぁと必死に目を開けているとなぜか笑われた。
「もう少しでできるよー!!」
「...アイツ、たまに母親とダブるんだよなぁ」
「ちょうど今私も、母親か嫁かと思った」
二人で笑いながら、のそのそと動き出す。
「なんだか、今日のAちゃんは懐かしいね」
そういった研二くんに、理解ができなくて首を傾げた。そのままリビングの椅子を引いて座ると、丁寧に並べられているシチュー。
「明日はグラタン作ろ」
「えー、俺も食べにくる」
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作者名:あおいろ | 作成日時:2019年11月17日 1時