紫煙をくゆらす【名探偵コナン】 (ページ42)

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[陣平side]

Aが、高校を卒業することができたのは正直嬉しかった。

萩原は気を利かせてか、夕飯を食べてしばらくしたら帰っていった。

引っ越してたのは驚いた、というかレベルが違いすぎる。もう流石にあれだけ話し合って、毎日のように傷だらけになって帰ってきていれば、アイツがやばい世界に入っていることは分かってた。

だがなんだか、少し寂しい気もした。

もうただのガキじゃねえって、思い知らされた。

「シャワーの使い方わかった？？」
「あぁ、お前も早く浴びてこい」
「んー」

そのシャワーのあるバスルームは高級ホテルか何かかと思った、という素直な感想は捨てた。

ダイニングにあるソファーとは別で、窓辺にあるカウチでアルバムを見ていたらしいAはすぐに立ち上がって部屋を出て行った。

「...確かに、こりゃ眺めがいいな」

半分ほど空いている大きな窓から見える夜景は、変な気持ちにさせた。

アイツが座ってたカウチは、沈み込みがよく、体がすっぽりと包まれた気分、というのが正解だろうか。俺はサイドテーブルに置かれているアルバムを手に取る。

「...ほぼ写ってねえのな」

写真は嫌いだって、今日昼も学校前でも相当騒いでた。

萩原の押しに負けてそれぞれ何枚か撮ったが。

写真に写ってる顔はほぼ無表情だし、嫌そうな顔をしてるものの方が多かった。

まぁ、アイツらしいと言ったらアイツらしいけどな。