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気がついたら二人の卒業式だった。
かく言う私も無事に進級できるらしく一安心。担任には迷惑をかけた自覚はあるけど、結果良ければ全て良しだと思ってる。
「俺たちいなくなってさみしくない??大丈夫??」
「...アホなの??」
涙ぐみながら私の視線に合わせて腰を折る研二先輩を冷めた目で見ていると、その後ろからもう一人見慣れた顔がやってきた。
「まぁ、お前のその図太い神経なら学校生活一人でもやってけんだろ」
「私が2年になっても友達できない前提やめてほしい」
最後の最後まで、軽口ばっかな私たちだと思う。
周りは学年関係なしに泣いてる人が多い。もちろん三年生がほぼ涙ぐんでる中、君たちここにいていいの??と不思議に思ってると、「松田ー!!萩原ー!!」とどこからか声がして、「ちょっと行ってくるね!!待っててね!!」と走っていった。
...私はここで待っていなきゃいけないのか
そう思いながら、卒業生の輪に戻っていく二人の背中を見つめる。
二人のおかげだと思う。
生まれて初めて人を信じるってことをした。正直、今でもいつか別れがくると思うととても怖い。
それでも、二人とバカやってると今が幸せだからいっか、と思わせてくれる。不思議だなぁと思って自然と頰が緩んだのが自分でもわかった。
「あ」
写真撮影が終わったのかみんながワイワイしてる中、二人が女の子に呼び出しされてるところを見つけた。なんだかんだ私とずっと一緒にいたけど、彼らだいぶモテる。
告白されるのかなぁ、と呑気に思いながら私は目の前の桜の木を見上げた。
まだほぼ蕾。
満開になるのは入学式シーズンだ。去年の1ヶ月間、この桜にはお世話になったなぁと思いながら2年に上がってもお世話になろうと早めに咲いている桜の花びらを見つめた。
「オメェ、桜なんか見上げて何してんだ??」
「あれ、女の子は??」
「あ??しらね」
研二先輩よりも先に来たのは陣平先輩だった。「ちょっと持っててくれ」と言われて、部活やら後輩やらからもらったらしい花束含めて、卒業証書や書類を渡された。
陣平先輩はそのままカバンを開けたので、あぁ、しまうのか、と一番最初に入れそうなものに持ち帰る。手を伸ばしてきたので、書類類を手渡すと素早くカバンにしまった。
「その花いるか??」
「いらない。ちゃんと持って帰ってよ」
カバンを肩にかけた陣平先輩。私は花束を渡しながら「卒業おめでと」と言った。
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作者名:あおいろ | 作成日時:2019年11月17日 1時