【歌い手】眠いから、僕は世界に馴染めない【男主】

50000hit & お気に入り500人突破記念 番外編 ページ35

「かーなーさん、おうどんできましたよー」

「さんきゅ」


机に器を置いて、その中に鍋に入ったうどんをドバドバと入れる。
わざわざ箸で移したりしない。
めんどくさいから((


「いただきます」

「かなさんまって、おはし、」

「あつ」

「そりゃそうでしょ」


お箸持ってないのに食べれないよ。
いつもそんなことするのは寝ぼけたときくらいなのに。
相当熱あるな。大丈夫かな。


「はい、お箸です」

「さんきゅ」

「……大丈夫ですか、酷くなってないですか？」

「だいじょぶだいじょぶ」


その確信はどこから出てくるのか知りたいですね。((


「かなさん、僕お薬とりんご持ってくるので、食べててくださいね」

「……やだ」

「うぇ？」


おおう変な声出た。
なんだ「うぇ」って。
いやおや、それより。


「ど、どうしましたか、」


かなさん？
急に抱きつかないでください、びっくりしました。


「……かなさん」

「…ごめん」

「ちょっとセンチメンタルですか？熱は辛いですよね」


ふわふわの髪で顔は見えないんだけど、どこか苦しそうな顔をしている気がして。
咄嗟に熱のせいかなって思って言ったけど、違うっぽい。
かなさん微妙な顔してる((


「お前、強くなったよね」

「僕…ですか？」

「うん」

「えっと、どの辺を見て」

「総合的に。俺もういらないかな」

「あの？」

「だって自分でなんでもできるじゃん」

「かなさん、」

「俺いなくても」

「彼方さん！！」


久々に呼んだ、かなさんの本名。
かなさんは少しビクついて、僕の上から退けた。
そういえば抱きつかれたまんまだった((


「かなさんがいなくていいなんて、思ったことないです。
もちろん出来ることは増えましたけど、それはかなさんが教えてくれたからです。
きっと、僕はかなさんがいないと何も出来ません。
かなさんがいるから出来るんです」

「…ありがと」

「だから、いなくてもいいなんて言わないでください」

「ん、ごめん」


悲しそうに笑うのはなんでですか。
僕の言葉じゃ信じられないですか。

僕は、どうすればいいんですか。

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