ちいさいころはね ページ34
＿＿＿＿お前がいるからいけないんだ！
全部お前のせいだ！
＿＿＿＿ごめんなさい、お母さん、ごめんなさい＿＿＿＿
・
「やめてっ、お母さん！やめっ」
「うるさいっそうやって騒ぐからでしょ！？いい加減黙ってよ！！」
痛い、痛いよ、やめて、お願いやめて。
髪を引かれる感覚と、腹部に与えられる痛み。
耐えるほどの気の強さは、その頃僕は持ち合わせてないかった。
「お前がいるから…！お前がいるからいけないんだ！お前が、お前が！！」
どこからともなく取り出したのはナイフ。
ねぇやめて、なにするの。
ねぇ今何してるの。
ざくざくぐちゅぐちゅどこ刺してるの。
全部痛いよ、分かんないよ、
助けてよ。
「おかあ、さん、」
「うるさいっ！黙れ！もうお前なんて産まなきゃよかった！！」
なんでなの。
僕は生まれなきゃよかったの。
ごめんなさいお母さん。
生まれてきてごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
「にいたん？」
不意に聞こえた声の主は、弟の真尋。
お母さんは真尋に気づいて近づいた。
やめてお母さん。
真尋には何もしないで。
ねぇお願い。
真尋に酷いことしないで。
真尋、泣いちゃうから。
泣いちゃうから。
泣いちゃったら、かわいそうだから。
「にいたん、あそぼ」
「…ま、ひ…」
「A！！お前はそこにいて！！」
途切れ途切れに真尋の名を呼ぶと、お母さんが倒れたままの僕を蹴りつけた。
そのまま真尋を抱き上げる。
かと思えば、机に真尋を押し付けて、細い首を絞めた。
僕は起きた。
そして走った。
そこらにあるゴミとか、僕の血でできた水溜りとか、気にせずに。
お母さんから真尋を奪い取って、お腹と足をナイフで深く切られたまま、外に飛び出した。
真尋は動かなかった。
でも後ろからお母さんが来た。
走らなきゃならなかった。
僕は声が出なかった。
でも叫んだ。
「助けて！」
「……どうしたの、大丈夫？」
これが、僕が6歳のときの話。
50000hit & お気に入り500人突破記念 番外編→←どうして
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 532人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏多(プロフ) - ノイさん» ありがとうございます！もう嬉しすぎて泣きそうです…！ (2017年11月19日 9時) (
レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
ノイ(プロフ) - 80000hitお気に入り600人おめでとうございます！凄く面白くて大好きです！これからも更新頑張ってください！ (2017年11月19日 8時) (レス) id: dcb8506cd4 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - む犬さん» ありがとうございます！なかなかシリアスから抜け出せなくてw更新頑張ります！ (2017年11月14日 6時) (レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
む犬 - はじめまして!とっても好きな内容でとっても面白いです！なんかシリアスが入ってるのが好きなんです←更新頑張ってください (2017年11月14日 0時) (レス) id: f250e10484 (このIDを非表示/違反報告)
奏多(プロフ) - 初音さん» ありがとうございます！私のはただの我儘なので全然大丈夫です！ (2017年11月12日 7時) (レス) id: fcbc722ecc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏多 | 作成日時：2017年10月15日 18時
