【歌い手】眠いけど、僕は世界と馴染みたい【男主】

かえってねます ページ24

「送ってくれてありがとう」

「いーよ。じゃあなー」

「うん。ばいばい」


丁寧に家まで送ってくれた京を見送り、家に入る。
まだかなさんは帰って来てないようで、家の中は冷たかった。

「ただいまー」なんて「いってきます」と同じくらいの頻度で言わない言葉をかける。
呼応の声は無い。

いつもそばにかなさんがいる安心感に、精神がかなり絆されていることを感じてしまう。
一人でも平気な僕は、いつの間にどこに行ったんだろう。


「部屋、あっためなきゃ」


帰ってきたらきっと寒い。

部屋に暖房つけて、あったかくして、かなさんまたなくちゃ。


エアコンのスイッチを入れ、ソファに寝転がる。
ふ、と目を瞑ると、普段よりも強い睡魔が襲ってきた。
最近色々あったし、今日も出かけたから疲れてるのかな。

少しだけ、と思い、僕は意識を手放した。




・


そらるside


「ただいまー」


いつも通り、間延びした声で家に声をかける。
あれ、予想だとAが飛びついてくると思ってたのに。
少し気持ちを落としながらリビングへ入る。

乾いた暖かい空気が俺を包んで、冷えた頰を緩めた。
Aかな、と思いソファを見ると、そこには同居人の姿が。
いや、流石に驚いた。


「A、」

「…んん…」

「…Aー」

「……ん〜…」


テコでも起きないってか。

頭撫でようとしたらはたかれたよ、酷い。
かなさん心折れそう((


…熟睡か。


「A〜」

「…ん…」

「…ちゅ」

「…んん…」


…無反応か。

流石にこれ以上はやめとくかな。
飯作ろう。

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