クーデレ彼氏と私の恋愛事情 【そらる】

事情 ３２ ページ43

それから知らされたことは

想像してたよりもずっと現実味がなくて

だけど、やっぱりって思う私もいて



私は、血液の病気

必要なのは、同じ型を持った人の血液

そして、それが…そらるだということ



「俺はさ、Aに移植をしようと思ってる」

「例え、俺の命と引き換えでも」

そんな事を真剣な声で話すそらる


待ってよ、嘘だって言って

何かのドッキリなんだって笑ってよ


「俺は、Aに生きて欲しいから」


なんでそんなこと言うの

私は、私は…


『私は、そらるに生きて欲しい…』


『私は、そらるに幸せになって欲しい！』


絞り出したその言葉はそらるによって遮られる

「言うと思ってた だけどさ…」

そうやって私をまっすぐ見つめる


「お前には、愛してくれる人がたくさんいるじゃん」

『え…』

「俺がいなくなってもお前は幸せになれるから」

『…何言って！』

「だから！」


そらるは珍しく声を荒げて言った






「お前が生きてくれることが、俺の幸せなんだよ…」






いつの間にか私の頰を涙が濡らしていた

そらるに抱きしめられて、私は泣いた


この温もりが消えて欲しくない


ずっとそばにいて欲しい


笑ってて欲しい


そして何より…幸せでいて欲しい





だから


『私、移植をするよ』

私の言葉にそらるは心から笑ってくれた



その日は2人で声と涙が枯れるまで泣いて


これからの少しの間で2人でたくさん思い出を作ろうって約束して


2人の幸せを願ったんだ






空に浮かぶ月は

静かに私達を見下ろしていた

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