クーデレ彼氏と私の恋愛事情 【そらる】

事情 ２４ ページ32

天月 side

「今日、来れる？」

朝、Aからそんな電話がかかって来た

検査入院中だから、携帯は使わせてもらってるらしい

僕は、暇だったし、少しでもAの力になりたかったから、

『分かった、行くね』

そう言って電話を切った

昔っから頼られるのに弱い僕

それを知ってか知らずかなかなか頼って来なかったA

そんなAが頼って来たんだ

さっきの彼女の声にはSOSが隠れていた



病室に行くと、ベットの上で鼻歌を歌うAが目に入る

僕が入って来たのには気づいていない様子で

『来たよ』

と僕が声を掛けると、顔を真っ赤にしてた

「き、聞いた！？」

『うん、相変わらずうまいね』

「恥ずかしい…///」

『もうすぐ死ぬかもしれない人とは思えない』

照れるAに冗談めかして言ってみれば、少し悲しそうに笑った

「そうだね」

あ、バカだ僕

こんなんだから…

『今日はどうしたの？』

僕の言葉に気を取り直したように笑ったA

でもさ、その笑顔が偽りの笑顔な事くらいわかるよ

幼なじみだよ？

ずっと隣で見て来たんだからさ

「うん、… これはさ、天月にだから話す事だよ」

その、少し特別な感じの言葉

それだけでも、僕は嬉しいんだ

『うん』

Aは、心を決めたようにまっすぐ前を見ていた


「私さ、もしかしたら死ぬかもしれないでしょ？」

『そんな事…！』

「あるの、いいから聞いて」

『…』

「それでさ、私が死んだらどうなるんだろうなって」

『え？』

思わず顔を上げる

何を言ってるの？

「Aとしての私はどうなるんだろう
Rainっていう歌い手としては？」

『….っ！』

「みんなは、どう思うんだろって」

『そんなの…』

そんなの決まってる

僕は、悲しいよ

だって僕は…






“ずっと前からAの事が好きだから”






その言葉をぐっと呑み込む

今これを言ったら、困らせるだけだから

今は、Aはそらるさんのものだから

だから…


『僕は、悲しいよ… だけどさ、そういうのはそらるさんに聞いた方がいいよ』

僕の言葉に少し驚いたような表情をしたA

そして

「そうだね」

そう言ってふわって微笑んだ

ズキン

胸が痛む



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一旦切ります

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