滅入る気持ち ページ23
・
佐「ふっかもそいつらに連れて行かれて。それで戻ってきた奴らに阿部ちゃんも」
さっくんが膝を抱えてその間に顔を埋めた。
佐「俺なにやってんだろ。アイツらのこと助けるとか言って、逃げて来ちゃった」
「さっくん、」
さっくんの腕に触れたら、すごく冷えていた。
だからなのか他の理由なのか、震えてる。
「それは、私が居るからだよね？」
阿部さんが言ってた意味が今は分かる。
『佐久間が居る方が彼女も安心するだろうし、』
震える腕に額を預けた。
「さっくんが居てくれて、私はまだ頑張れるよ。一緒に皆を助けよ？」
守られてばかりの私が言うことじゃないんだろうけど、でもこれくらいしか言えない。
さっくんが此処で弱気になってしまったら、きっと私たち終わりだ。
溢れそうになる涙を流さないように耐え、さっくんを見上げる。
するとポンっと頭に大きな手が乗って、さっくんが頷くと同時にポン、ポンポンて。
佐「うん、助ける。助けよ、一緒に」
下がった眉はまだ頼りなさげに、瞳も若干潤んだまま。
だけどその口角の上がった口からは、「っしゃ！！」といつもの彼らしい気合いが聞こえた。
「動くな」
気合いを入れて直ぐ、さっくんの首元にナイフが突き付けられる。
どこまでも付いてない。
どうしたらいいの？
つーっと、背中に汗が伝う。
「お前らやな俺らの食料に手ぇつけたんは」
さっくんは抵抗の意思はないと示すように両手を上げた。
佐「知らなかった。此処に人がいるとも思ってなかっから」
「そ、そうです。私たち、アイツらからずっと逃げてて、海を泳いでやっと此処に辿り着いて、ほれでっ」
助けてくれないかな？
僅かな望みを願いながら、私はさっくんの背後に立った男性を見上げる。
「泳いで来たん？」
「はいっ」
男性が瞳を揺らす。
お願い、そのナイフをさっくんから退けて。
「……せやったら相当疲れてたやろなぁ」
願いが通じたのか、男性がナイフを持った手を引いた。
その瞬間を見逃すまいとさっくんが動こうとするのを制した私。
駄目だよ。此処で争うのは得策じゃないよ。と、目で訴えてみれば何となく読み取ってくれたのか力を抜いてくれた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1091人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» コメントありがとうございます！はい！終わりに向かってます。これからの展開どんな風に受け止めてもらえるか不安も多いのですが決めていた事なので最後まで貫き更新頑張ります！！ (2021年8月15日 10時) (
レス) id: bf817d2202 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 終わりに向かっていってるんですね！なぜこんな世界になったのか、、また困った展開も待ってるみたいですね！気になりますっ！！^ ^ (2021年8月15日 2時) (レス) id: ff23500b61 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - 涼菜さん» ありがとうございます！！不定期更新ですがお付き合いしてもらえると嬉しいです(^^)頑張ります！ (2021年7月29日 22時) (レス) id: 6bfa312962 (このIDを非表示/違反報告)
涼菜(プロフ) - いつも楽しみにしています！これからも更新頑張ってください(*^^*) (2021年7月29日 14時) (レス) id: ec45b950ff (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ありがとうございます！彼らも前へ進みます(^^) (2021年7月29日 13時) (レス) id: 6bfa312962 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年11月19日 13時
