手の持ち主 ページ7
IK「…いったん纏めよう」
静まり返ったリビングで郁が茫然としたように言った。私は彼から写真を受け取って眺める
親の事は記憶にない。写真を見てそれが自分の両親だとわかったのは、郁の両親からアルバムを見せられたからだ。私にとって両親は写真の中の人だった
Jr「写真は工房で撮られてるって事は、ハルコさんのご両親はこの森にいたって事だ。それに…」
ジニョンはハルモニの背後の窓を指した
Jr「外が暗い……夜だった。客人じゃなくて“森の子”だった」
JS「じゃぁ何で日本行ったんだ?」
“森の子”がここまで減少したのは近代化に合わせて人々が森を出て行ったからだ。不便な森を捨てて町を選んだ。私の両親もそうだったのかと思ったが、おそらくそれはないだろう。同じ考えにユギョムもすぐに気付いた
YG「この人、妊娠してる」
BB「え!?」
YG「ハルコさんのお母さん……つまり森を出たのはハルコさんを妊娠してからって事だ」
MK「出産のために病院のある町に行く事はよくあるって聞いた。でもわざわざ日本まで行くか?」
BB「もっと写真見て見たら何かわかるんじゃない?」
ベンベンに言われて写真をテーブルに置く。私は疲れてしまってソファに沈み込んだ。隣で同じ様にヨンジェ君が遠い目をしている。と、ジェボムが言った
JB「首んとこ見ろ、ハルコの父親の」
ジェボムが写真を私に見せる。目を細めてよく見ると、紐のようなものがかかっている。ジェボムは自分のシャツから鍵を取りだした
JB「鍵を持ってた。“森の子”どころじゃない……長だった。ハルモニの先代はハルコの父親だ」
BB「じゃぁこの手…」
JB「……そうとは限らない。何故長が森を出たのかもわかってないんだ」
ふと胸騒ぎがしてヨンジェ君の方を振り向くと、それと同時にジニョンがヨンジェ君を羽交い絞めにした。じたばた暴れるヨンジェ君を見て、ようやく状況を理解する
「さすがね、ジニョン」
Jr「森に聞くまでもない、こいつ駄々漏れだから」
JB「どうした」
Jr「財閥に戻るつもりだよ……戻ってどうするの、父親に何を聞くつもり?」
すっかりむくれたヨンジェ君に郁がチョップを振り下ろした
IK「何でそう単細胞なんだお前は!!」
YJ「…記憶」
彼はちらりと私を見る
YJ「ハルコさんの記憶喪失は、韓国語だけを綺麗に忘れるとか……凄く不自然です。もし父が猿の手の事を知ってたら絶対利用する」
「…嘘」
YJ「一家が日本に行ったのは、財閥から逃げるためだと思う」
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くたろまりあん(プロフ) - ゆうさん» 最近更新停滞気味な上に久々の更新が番外編、コメ返まで遅れてまことに申し訳ない限りです(涙)ムネアツをお届けできていたなら嬉しいです!!頑張って話を続けますので、これからも温かく不肖くたろを見守って下さい!! (2016年4月28日 17時) (レス) id: e40acf0397 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - こんにちは!初めまして!くたろまりあんさんのForest of the kaleidoscopeがとてもすばらしくて、もう何度めかは分からない程には1~現在まで振り返りは読み返してます。今までずっと静かに静かに読んでましたが、もう押さえ切れません。素敵なムネアツあざます!!! (2016年4月24日 14時) (レス) id: 2bedd12a2f (このIDを非表示/違反報告)
くたろまりあん(プロフ) - 醤油ベースさん» いいんですよ、私もそう書いてましたから(笑)今回彼がジニョンを守っていたというのは今朝思い付いたばかりなんで(笑) (2016年4月6日 18時) (レス) id: e40acf0397 (このIDを非表示/違反報告)
醤油ベース(プロフ) - 今までチョルの馬鹿って思っててごめんなさい…。 (2016年4月6日 16時) (レス) id: 35dfa964ba (このIDを非表示/違反報告)
くたろまりあん(プロフ) - kafuさん» 財閥といったらあれでしょう(笑)…ご自愛くださいませ(笑) (2016年4月5日 15時) (レス) id: 25f472dd75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くたろまりあん | 作成日時:2016年1月21日 7時