新たな“森の子” ページ49
JB視点
Jr「…大丈夫、もう行ったよ」
看護師たちの動きを見ていたジニョンが言うので、俺は病室に滑り込んだ。ドア付近で立っていた見張りを黙らせ、病室のドアに凭れさせる
「ジニョン、カルテを見ろ。治癒出来そうか」
Jr「……顔の上半分を焼かれて完全に失明、喉から肺にかけても火傷してる」
タンさんは顔の大部分を包帯で隠され、呼吸器をつけている。ジニョンはタンさんの手に握らされていたボタンを手に取った。それを押すと麻酔が出る仕組みらしい
Jr「全部治癒するには時間がかかるし、俺がここから動けなくなる可能性がある。だからまずは肺機能だけ再生させるよ」
「手伝おうか」
Jr「いや、ヒョンはいざという時のために体力温存して。ここからタンさんを連れ出さなきゃいけないんだし」
そう言ってジニョンは干し果物を食べ、ボタンを押してから前合わせの入院着を開け、タンさんの胸に手を当てた
TN「…ッ!!」
Jr「痛いだろうけど耐えて……ッ助けに来たんだ」
ジニョンの額に汗が浮かんでいる。治癒の痛みにもがくタンさんの手が、ジニョンの腕を折れそうなほど掴んでいる。錯乱しているようだ
Jr「もう少し…ッもう少しだ」
タンさんが咳き込むと同時にジニョンが彼から離れた。床に崩れ落ちている
「大丈夫か」
Jr「肺と喉だけ……ッもう喋れるはず」
「タンさん、俺達がわかるか?落ち着け、今呼吸器を外してやる」
息苦しそうにする彼から呼吸器を取ってやると、その手を掴まれた。俺でも痛いと感じるほどの握力で、その爪は皮膚を抉りそうだ
TN【…ッこの卑怯者】
「タンさん」
TN【お前はもう僕の主人じゃない……ッヨンジェさんに何かあったらお前を殺してやる】
「タンさん俺だ!!ジェボムだ!!」
彼の手を引き剥がして、怪我人にどうかとは思ったが軽く頬を叩く。治ったばかりの肺で必死に息をしていたタンさんが、だんだん落ち着いて来る
「俺がわかるか?」
TN「……その声、ジェボムさん?」
「そうだよ。ジニョンもいる。今タンさんの肺と喉を治癒させた。目と顔は森に戻ってからだ」
TN「駄目です」
彼が再び、今度は縋りつくように腕を掴んだ
TN「旦那様はヨンジェさんが森にいることを知っていらっしゃる……ッ森の方たちの個人情報を全て調べ上げています」
「それはもうわかってる」
TN「彼はジェボムさんのことも…」
「全部わかってる。だからあんたを助けに来たんだ」
俺はタンさんの体を抱き上げた
「行くぞ。あんたは“森の子”になるんだ」
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くたろまりあん(プロフ) - ゆうさん» 最近更新停滞気味な上に久々の更新が番外編、コメ返まで遅れてまことに申し訳ない限りです(涙)ムネアツをお届けできていたなら嬉しいです!!頑張って話を続けますので、これからも温かく不肖くたろを見守って下さい!! (2016年4月28日 17時) (レス) id: e40acf0397 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - こんにちは!初めまして!くたろまりあんさんのForest of the kaleidoscopeがとてもすばらしくて、もう何度めかは分からない程には1~現在まで振り返りは読み返してます。今までずっと静かに静かに読んでましたが、もう押さえ切れません。素敵なムネアツあざます!!! (2016年4月24日 14時) (レス) id: 2bedd12a2f (このIDを非表示/違反報告)
くたろまりあん(プロフ) - 醤油ベースさん» いいんですよ、私もそう書いてましたから(笑)今回彼がジニョンを守っていたというのは今朝思い付いたばかりなんで(笑) (2016年4月6日 18時) (レス) id: e40acf0397 (このIDを非表示/違反報告)
醤油ベース(プロフ) - 今までチョルの馬鹿って思っててごめんなさい…。 (2016年4月6日 16時) (レス) id: 35dfa964ba (このIDを非表示/違反報告)
くたろまりあん(プロフ) - kafuさん» 財閥といったらあれでしょう(笑)…ご自愛くださいませ(笑) (2016年4月5日 15時) (レス) id: 25f472dd75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くたろまりあん | 作成日時:2016年1月21日 7時