Forest of the kaleidoscope4

長の最期 ページ48

JB視点

案の定ヨンジェは体調を崩し、ベッドで体を丸めている。男は椅子ごとバスルームに閉じ込めておいた。じっと待っていると、やがて部屋のチャイムが鳴った。ドアスコープで確認し、ドアを細く開ける
「早く入って」
「約束だ。彼に会わせろ」
彼が持って来た検査結果を受け取ってから部屋に通すと、ベッドで丸まるヨンジェに彼は駆け寄った
「ヨンジェ」
YJ「……ジヌさん！！」
飛び起きようとしてパタッと倒れた。ジニョンがヨンジェを抱き起し、背中にクッションを入れてやる。ハン・ジヌと名乗るこの男が、ヨンジェが紹介した研究員だ
JW「いったい何に巻き込まれてる。しばらく連絡がないと思ったら俺のところまで噂が来たぞ。チェ財閥の跡取りが行方不明だって」
YJ「いろいろあって家出したの。今はこの人達が僕の家族」
JW「…家出したくなるのもわかるけどさ。でも随分穏やかじゃない依頼だな。渡されたDNAのいくつかがそれぞれ一致したよ」
結果を見て、それらが推測通りだったことがわかる。“猿の手”はハルコと親子関係にあり、俺とヨンジェのDNAがいくつか一致していることも明らかとなった
JW「それからこれ、この綿棒は汗の痕跡があった。調べたらこのDNAと親子関係にあるとわかってけど、こっちとは別人。女性だね」
小指の痕跡がハルコの母親だということだ。“猿の手”がハルコの父親で、小指を折ったのがハルコの母親ということが明らかとなった。するとヨンジェが言った
YJ「他にも綿棒あったでしょ。それは？」
JW「……上皮細胞含めいくつかの痕跡が出たけど、全部一人のものだった。この2つのDNAとそれぞれ一致した。父親だ」
俺とヨンジェが顔を見合わせた。“猿の手”を使ったのはチェ・ヨングァン本人だ。これだけで殺人の証拠になる。“猿の手”は何かに阻まれた状態だと発動しない。つまり素手でしか発動しない
JW「ヨンジェ、俺怖いんだけど」
YJ「他になかった？」
JW「これ……これはミイラ化した人間の組織だった。検査したら多量の麻酔薬が検出された。これがどういうことかわかるか？」
俺達が首を傾げると、ハン・ジヌは続けた
JW「普通薬を投与されたらいずれそれは無毒化されて検出されなくなる。つまりこの人は麻酔薬が効いているうちに殺されたんだ」
「…殺すための麻酔薬ってことか」
JW「何のためかは知らないけどね」
俺達ならわかる。ハルコの父親は麻酔を打たれ、逃げられなくされたうえで手を切り落とされたのだ。そしてそのまま、見殺された

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