Forest of the kaleidoscope4

“森の子”は屈しない ページ45

ユギョム視点

「……調べたのか」
「マーク・イェントゥアン、LAの名家の養子だが学校教師に誘拐されている。残念ながら犯人とわかったころにはその男性は死んでいたらしい。ワン・ガイ、彼は香港のフェンシング選手だったがステロイド疑惑をきっかけに行方をくらませた。パク・ジニョン、何と彼の父親は偶然にも私の友人だ」
考えもしなかった。俺達は皆どこかから逃げて森に辿り着いた。それは最大の弱みだ
「クンピム・ブクル」
「！！」
「似顔絵を作成した時誰かがイム・ジェボムではないと気付いたらしい。彼はタイの有名な子役でやはり行方不明になっている。国の宝とまで言われた天才子役が可哀想に」
ベンベンがジェボム兄さんでないことはだいぶ前にわかっていたらしい。彼らの情報力を完全に舐めていた。森は今かなり追い詰められている
「さて、これを聞いてもまだ自分が取引出来る立場にあると思うか？」
「……」
「坊ちゃんを差し出したらどうだ。彼にとっては実家に戻るというだけだ。イム・ジェボムは？財閥御曹司となれば誰もがうらやむ人生だぞ」
銃を持つ手が震える。選べるわけがない。ジェボム兄さんは一族の長で、俺達の兄であり父親で、ハルコさんにとってはかけがえのないパートナーだ。そしてヨンジェ兄さんは2人の大事な“息子”であり、やはり家族だ
「俺達には誇りがある」
「というと？」
「俺達は何があっても家族を見捨てないし敵にも屈しない。通報すればいい。俺は両親よりも森を選ぶ」
俺は再び銃をしっかりを握り締めた。震えちゃ駄目だ。怯えを見せるわけにはいかない。例え同化が遅くても、元がただの家出人だとしても、そんなことは関係ないと森が教えてくれた
「俺は“森の子”だ！！汚い脅しには屈しないし仲間も渡さない！！“才能”は森の中にあってこそ許されるものだ、財閥なんかにはふさわしくない！！兄さんたちは俺が守る！！」
JB「よく言ったユギョム」
頭上から声がして反射で飛び退いた。ジェボム兄さんが音もなく着地し、声をあげようとした男の首を素早く極めて気絶させる。ゆっくりと崩れ落ちた男を兄さんは担ぎ上げた
JB「こいつを連れていく。使い方は後で考えよう」
「え…どうやって？」
兄さんは黙って隣の5号館を指した。そこから跳んで来たのだろう。建物の間は5mも離れているが、“森の子”なら確かに余裕だ
JB「偉いぞ、立派な“森の子”だな」
「でも……どうするの？」
すると兄さんはにやっと笑った
JB「長の本気を見せてやる」

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