Forest of the kaleidoscope4

生焦げハンバーグ ページ30

JB視点

当然と言うべきか、進展は全くと言っていいほどなかった。なかったとしても、森や“森の子”に危害が加えられてはたまらないので安心する面もあるのだが、財閥にも動きはない
IK「……で、何でそいつはそんなむくれてんの」
頬を膨らませ、唇を尖らせてルーペを覗き込むヨンジェを指して郁が言う。ここ最近、ヨンジェはずっとこんな調子だ。ぶうたれた顔でちまちまと作業をする。最初は気遣っていたハルコも面倒になったのか、最近は放置している
MK「彼氏が浮気気味だからでしょ。ジニョン最近あのチョルってやつとよく会ってるし」
「会うも何も、同じ大学なんだからしょうがないだろ」
IK「やきもち焼きの甘えん坊だから、ジニョンが一番可愛がるのは自分じゃなきゃ嫌なんでしょ。順調に良性電波男子コース辿ってるね」
「変な影響与えるな郁」
IK「こないだ畑でベムにトマト餌付けしてたの、知ってるんだからねマーク」
ジニョンの負傷で一時帰って来ていたユギョムも大学に戻り、チョルと連絡を取り合いながら調査を進めてくれている。ジヒョンも何も言って来ないという事は、タンさんもたいした情報を得られていないという事だ
と、ぴくっと何かに反応したヨンジェがどういうわけか作業台の下に潜り込んだ
MK「……何してんのあの子」
IK「ジニョンが帰ってくるんでしょ。拗ねてますって言いたいんだよ」
MK「子供だねー……郁もよく俺の部屋のクローゼットに潜り込んでたよね」
ただでさえ不安要素の多い森で、ジニョンとヨンジェは平和かつ可愛いネタだ。見ているとじれったい少女漫画のような2人に、癒されている
Jr「ただいま……あれ、何してるの。ヨンジェは？」
マク郁がにやにやする中、俺は作業台を指さす。ジニョンは溜息を吐いてリュックから紙袋を取り出した。それを持って作業台に近付く
Jr「ほらヨンジェ出ておいで。鯛焼き買って来たよ」
YJ「……あっち行って」
Jr「笛ラムネと吹き戻しも買って来たよ。拗ねないでよ、チョルにはユギョムの事聞いたり財閥の調査手伝ってもらったりしてるだけだから…」
YJ「昨日夕食にいなかった！！僕ハンバーグ焼いたのに！！」
Jr「俺も食べたかったけど…」
冗談じゃない、と誰もが思った。メンタルの影響か単純に下手くそか、ヨンジェが焼いたハンバーグは焦げているのに中が生だった。ハルコが仕方なく焦げを削り、煮込みにしたのだ
IK「じれったいわー……泉に叩き込めば一皮むけるかな。この時期なら大丈夫だろ」

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