Forest of the kaleidoscope4

啓オンニとの妄想トークで生まれた番外編：学パロガッセ← ページ29

JB視点

ホームルームを終えて図書室に行くと、2年のジニョンが声をかけて来た
Jr「ヒョン、本の修繕が入ってる。エンツェンスベルガーの『数の悪魔』、表紙が破れてバーコードが剥がれかかってる」
「ヨンジェにやらせろ。マク郁とジャクソンには触らせるな、あいつらにはそれぞれ悪化させた前科がある。ハルコは来てないのか？教室行ったらいなかったぞ」
Jr「担任が急用でホームルームなかったそうで……すでに定位置」
「ベム、カウンターはユギョムに変わってお前は蔵書整理入れ。ジニョンは広報誌の期限が今週だから校正と編集頼む。郁は今月のおすすめ図書選んでポップ書け、前回みたいに手抜いてハリー・ポッターコンプリートで済ませようとしたら担任にチクるからな。マークとジャクソンは図書未返却生徒をリストアップして該当クラスの担任に催促しろ。本人に催促するより効果的だ」
図書委員は実は仕事が多く、楽が出来ると思って委員になった生徒は大体4月で幽霊化する。生き残ったのはどいつもこいつも自由人ばかりで、副委員長の俺が仕事を割り振らないと図書室は崩壊してしまう。信頼出来るのはジニョンくらいで、比較的真面目なユギョムもまだ一年なため頼りない
「ハルコ……出て来い、仕事だ」
カウンターの奥の扉から閉架に入ると、隅っこでハルコが積み上げられた段ボールの陰でパイプ椅子に座って読書していた。これで委員長なのだから納得いかない
「今いいところなの」
「しっかりしろ委員長。夏休みのイベント決めたのか？テーマになる本集めとけって言ったろ。ったく、ヨンジェはいつ来るんだ」
「あら、来てるわよ」
すると段ボールの陰からヨンジェがぴょこっと目から上をのぞかせた。廃棄や売却をしても閉架は本が増える一方で、古いものはこうして段ボールに詰めるしかないのだ
「……ヨンジェ」
YJ「ジョン・アーヴィングの『ホテル・ニューハンプシャー』です」
「お前が今何読んでるかは知らん。本の修繕が入ってる」
俺は段ボール向こうに手を伸ばして本を取り上げると、ヨンジェを開架に追い立てた。彼は手先が器用な本の虫で、修繕作業が好きなのだ。ハルコは相変わらず優雅に読書中だ
「ハルコ……俺怒るぞ」
YJ「あ―――――ッ！！」
「うるせぇここは図書室だ！！」
YJ「エンツェンスベルガーの『数の悪魔』！！この名作を傷付けたのは誰ですか！！」
「黙って仕事しろ追い出すぞ！！」
ハルコは本を閉じてにっこり微笑んだ
「ジェボム、図書室では静かにね」

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