第二ラウンド ページ44
ミンギュ視点
「今のお話は冗談のおつもりかしら」
ミミ兄が思い切りジュースを吹き出した。いつの間にかユン夫人が背後に立っていたのだ。ソウンさんが呆れたようにテーブルを拭く
「ミミ兄何で普段は1キロ先の敵の気配も察知するのに、こういう時は鈍いの」
JH「部下の親ってのに徹底して弱いな」
ユン夫人は絶対零度の目を向けながら言った
「将来孫になる女の子とご挨拶でもと思ったのだけど、その前にあなたとお話する必要がありそうね、司令さん……ミミさんだったかしら」
「そうですミミですお話伺います」
JH「それなら俺も…」
立ち上がろうとしたジョンハン兄の肩を押さえてミミ兄は立ち上がり、ユン夫人と一緒に一旦店の外に出て行った。寒いはずだが、それでも会話を聞かれたくないらしい
JH「ヒョン！！母さんに何言われても首とか言わないでよ！！ミンギュを所長の生贄に捧げちゃうからね！！」
「ちょっと！！」
ミミ兄は手をひらひらと振り、ドアを閉めた。ここからだと硝子越しにうっすらとしか様子がうかがえない。と、ジョンハン兄は怪訝な顔で言った
JH「ユジンを孫って言った……随分あっさり認めたな。母さんならもっとあれこれ言ってくるかと思ったけど。ヌナ大丈夫？一人で戦わせてごめんね…」
イェウンさんは一息ついたようにお茶を飲み、ユジンを抱っこした。先程までは平然としていたがやはり緊張したのだろう、ユジンをもみもみしている
YW「ジョンハン君が大事なのね、やっぱりよくは思ってないみたい。でも“息子が決めたことだから口は挟まない”って。結婚自体は喜んでらっしゃるみたいだったわ」
イェウンさんとソウンさんは純粋にそのことを安堵しているようだったが、ジョンハン兄の顔は一気に曇った。要はこういうことだ―――血族戦闘員はえり好みなど出来ない
「…てなるとやっぱりネックは戦闘員、だよね」
JH「第二ラウンド、次の対戦相手はミミ兄だ。大丈夫かな」
「ヒョンを辞めさせたりはしないと思うよ、それがどういう意味かはヒョンが一番よくわかってる。でもだからこそ、一番ダメージ喰らうと思う」
JH「ごめん……ミミ兄のこと、頼むよ」
Mob事件は全てを壊した。どんなにそれまでよい関係を築いた普通の家族でも、事件のせいで植え付けられた不信感は拭えない。自慢の息子が一転、親を泣かせる不孝者になる。ただの病気とはわけが違うのだ
「大丈夫だとは思うよ……俺の親にもそうだったけど、ヒョンは絶対に部下を手放さない」
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
