検索窓
今日:35 hit、昨日:0 hit、合計:35,592 hit

鉛の盾 ページ36

エスクプス視点

WW『バーノン、様子はどう?』
「止血はしたからしばらくはもつ。ただこの寒さだな……車に乗せて何とか暖を取らせたいとこだけど、使うしなぁあれ…」
ウォヌの声は深く沈んでいる。バーノンの身を案じているだけではないのだろう
「予知、改変されたんだろ。司令は死なない」
WW『…推理通りだよ、最悪のシナリオ。このままだとロシアが韓国に“報復”する。少なくとも韓国支部もソウルも終わりだ。改変内容、詳しくは聞かないで』
核爆発ともなれば第三次大戦もあり得る。イェウンさんたちはジョンハンの死を悼む間もなくそれに巻き込まれる。ウォヌが案じているのはソフィアだろうか
「予知、改変と言うより改悪だな。ジョン・テギョンの狙い通りだ」
WW『まだ打つ手はある。カミルさんによれば予知はところどころぼやけてる。つまり不確定ってことだ。ヒョンの計画通りにいけば回避出来る。計画を知る人は全員認識妨害の保護をかけたから敵に察知されることもない』
それが予知の改変に現れないのは成功確率が低いからだろうカミルさんほど完璧に近い予知者はいないと考えられている。予知の揺らぎを敵に察知されないことを願うしかない
『クプス聞こえるか。こっちで準備が整った。かかれ』
「はい。作業中は集中したいので無線を切ります。済めばこちらから連絡します」
『わかった。さっきも言ったな……バッテリーボックス、忘れるな』
俺は衛星携帯を切り、車のボンネットを開けた
JH「クプス、俺がやる」
「さっきも話し合ったろ。これは俺の仕事だ、バーノンを見ててやれ。低体温で意識が遠のけば命にかかわる」
JH「お前は副司令だろ、ミミ兄に必要だ!!何かあったら…」
「副司令はいくらでも替えが利くけど父親に替えは利かないんだ!!ユジンにパパって呼ばせてやりたくないのか!!」
ジョンハンは息を詰まらせる
「結婚するんだろ……家族を優先しろ」
JH「……わかったよ。今日一日で聞き飽きただろうけど、死んだら殺す」
ジョンハンはそういって、テントの反対側にいるバーノンに寄り添った。俺は車のボンネットからバッテリーボックスを注意深く外し、背嚢に入れてあった降下用のベルトで胸に括り付けた。バッテリーボックスは本体が鉛で出来ている。放射線を遮蔽する鉛を体の前に持って来ていればある程度は放射線から身を守れるからだ
もちろん完璧ではないし、正直時間稼ぎにしかならない。それでもやるしかない。俺はナイフを開いた

“作業”→←奇貨を取れ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
99人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:くたろまりあん | 作成日時:2018年2月19日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。