奇貨を取れ ページ35
エスクプス視点
そこへテントにジョンハンが入ってきた。バーノンの肩を担いでいる
「大丈夫か」
JH「バーノンを撃ったやつ、ホローポイント弾を使ってた。肩がずたずたに引き裂かれてて出血が酷い」
VN「強い弾だったから……戦闘服でも」
「いい、喋るな。爆弾は後22時間で起動する」
バーノンをテントの柱に凭れさせ、ジョンハンが中を見渡す
JH「爆弾は全部で4つ……ウランを全部使ったのか。基地ひとつ吹き飛ばすのに随分豪勢だな」
「ジョン・テギョンの狙いは基地の爆破じゃない。だからだよ」
あの男はジョン・テギョンに利用されたといっていた。つまり基地へのテロ計画の失敗こそが、ジョン・テギョンの計画だったことになる。それなら狙いは何か
「ロシアを核汚染することだよ。だから広大な土地に合わせて爆弾も大量なんだ」
JH「何で…ッ」
「このテロ計画を知ってるものは本部でも数少ない。アメリカ本部にあの車を借りる時もかなり強硬に所長が押して、任務内容は伝えてない。どこに内通者がいるかわからないからな」
つまりシェルター韓国支部はロシアに核の脅威を告げずこの任務に当たっていることになる。もし爆発してロシアが壊滅でもしたら
「国際問題どころじゃない、戦争が起きる。朝鮮半島が火の海だ」
JH「狙いはそれか……結果的にロシアを核汚染した韓国支部を国際的に孤立させること。韓国政府まで共倒れだ。支部解散もあり得るぞ。何が何でも爆弾解除しないと…」
VN「駄目だ」
バーノンが息も絶え絶えに声を絞り出した
VN「“あの方”のやり方はわかってる……目的がウランの爆発なら、爆弾を解除した瞬間ここが爆撃される」
「何で…」
VN「あと22時間弱…それは“あの方”が決めた時間ってことだ。能力解除の掻い潜り方は彼だって心得てるはず」
つまり何らかの方法でウランが爆発しないことを知ったら、ウラン自体を爆撃するということだ
「…ハニ、衛星携帯でカミルさん呼べ。時間がない」
ジョンハンはさすが何も聞かずに外に出て行った。代わりにバーノンが聞く
VN「…ヒョン、何するつもり」
「重要なのは22時間後に“確実に”爆発する必要があるってことだ。それまでは能力解除のおかげで俺達も手が打てない。ジョン・テギョンの思惑はなんにせよ、その直前必ずテロ計画にかけられた能力解除は解かれる……爆弾を基地に送るため、あるいはウランが確実に爆破するのを見届け邪魔者を排除するため。俺達はその一瞬のチャンスを狙うんだ」
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
