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無償の愛は存在し得るか ページ4

エスクプス視点

ウンビさんは微妙な顔をしている。俺はすっかり項垂れた
「ごめん…」
EB「いいよ。スンチョル君の親はどんな人だったの」
「父は犯罪者で、母はそのことに目をつぶってた。割と子供の段階で諦めていたおかげで、両親に裏切られたと感じて傷付くことはなかった」
だが正直言って、それは育ちと性格に起因している。ウォヌは俺よりひどい裏切りにあったが、しばらくは母親に期待していた。ジョシュアは俺より逞しい性格をしているが、両親がLAに帰ったことを知って酷く動揺していた
「言い方が悪かったな。親も人間だということを念頭に置いて、諦める準備をしておくべきだ。この世の中、親だから無償の愛を向けてくれるとは限らない」
EB「経験談?」
「まぁね。だけどこれも経験談。無償の愛は存在する。血縁関係の有無に関わらず」
所長と司令の関係がいい例だ。所長は司令を我が子として大切に育て、司令は所長を父と慕うと同時に絶対的な忠誠を誓っている。司令とミンギュもそうだ。自分が永遠に司令の一番になることはないとわかっていながら、ミンギュは献身的に尽くしている
「幸せの第一歩、お母さんのことはしばらく忘れて。マスターはウンビさんを誰より大事に想ってる。羨ましいくらいだよ。これからは母親のためじゃなくて、自分のために誰かを探すんだ。母親がうらやむような相手じゃなくて……もし幸せになれなくてもその人のせいにしないと自信を持てる相手」
EB「…スンチョル君は誠実だね」
ウンビさんは何故か笑っている
EB「そこで“幸せにしてくれる相手”とか言わないとこ、いいと思うよ」
「悲観的なのは職業病かな。ウンビさんのお母さんのことはよく知らないから、話半分でいいよ。でもこれからは気になる男が出来た時点で俺かマスターに相談すること。ウンビさんよりは見る目あると思うから」
EB「おかげでだいぶ気が楽になったかな。しばらくは幸せ探しもお休みにする。私の彼氏はお爺ちゃんとお店。安心でしょ?」
「俺もマスターもね。送るよ。マスターにひとりで話せそう?」
朝マスターに夕食を誘われたのだが、今日は基地に戻って少し片付けたい仕事がある。ウンビさんはいくらか元気が出たようだ
EB「ありがとうね。お友達にもよろしく」
「どういたしまして。俺もここまでくるとお節介というより首突っ込み病というべきかな。仕事柄お人よしは控えるべきなんだけど」
それでも構わない。司令は“そのままでいい”と言ってくれたのだから

可愛い可愛いお姫様→←幸せの基準



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作者名:くたろまりあん | 作成日時:2018年2月19日 23時

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