予知の方法 ページ28
基地は韓国ではない別の国の、森の奥深くに存在している。ゲートや移動能力を使わずに目指すのは到底無理だ。とはいえ大量のウランを使った核爆弾を使われればその森は消し飛ぶし、基地が位置する国家に重大な損失を与えることになる。そうなればシェルター韓国支部とその国との国際問題に発展しかねないし、放射線による爪痕が長期間残ることになる
WW「司令、保護血族とスタッフは本部に移送しました。急遽本部の血族が空間能力で収容してくれたみたいで」
「ん。後方支援部隊は？連中も移送するように言っただろ」
WW「今ハニ兄とウォノさんが喧々諤々です。後方支援は最後まで戦闘員と共にあると言って聞かないんだそうで」
「今はまだいい。カミル先輩の予知によれば爆破はおそらく4日後だ。前日になったら全員眠らせてでもゲートに蹴りこめ」
WW「どうやって予知したんですか。基地の未来も含めてテロ計画全体が能力解除されてる」
俺が口籠ったのを見て、ウォヌが怖い顔をした
WW「…司令」
「全員に瞬間移動のガラス玉を配れ。連中は異変に気付いて俺達が逃げないよう直前まで基地に能力解除をかけないはずだ。いざという時は退避しろ」
WW「自分だけ残る気ですか！？ふざけるな！！ミンギュが聞いたら何というか…」
「だから言ってないよあいつには。でもそうするしか予知する方法がないんだ」
所長は―――ヒニムは俺の死をきっと悼むはずだ。ミンギュはおそらく荒れ狂い正気を失うだろう。うぬぼれではなく、俺の死はシェルターに衝撃を与える
「その衝撃を予知したんだ。道は二つしかない。ここの爆破を俺が死をもって見届けるか、未然に爆破を止めるかだ。言うか？皆に」
WW「……言えるわけないでしょう。全員司令と一緒に残るというに決まってる」
ウォヌも本当はそう言いたいのだろう。だが彼にはどうしても守りたい恋人がいる
「今のうちに言っておくぞ。もし万が一俺の身に何かあったら、お前の“主”は所長に移行する。指示は所長に仰げ」
WW「……」
「そういう覚悟が必要な立場だとわかってるだろ。頷いてくれ。俺もせめて死ぬときは荷を下ろしたい」
ウォヌが“謎の男”として基地にいてくれれば、俺も少しは安心出来る。残酷なことを突きつけていることはわかっているが、ウォヌは頷いた
WW「最終的には仲間の命を優先します。これでいいですか」
「うん、上出来だ」
WW「でもそれは最後の手段です。何があっても司令を死なせない」
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
