黒い手の凶行 ページ26
ジョンハン視点
どうやらミミ兄は最初から戦争など起こす気はなかったらしい
「犯罪組織といっても金のためにこそ泥拉致って大物犯罪者を強請ることすらできずに隠れるようなケチな連中だからな。最初に脅かしてやればすぐ投降する」
こちらがサポート基地のものだと名乗ると案の定建物の奥から撃ってきたが、ヒョンの命令でバーノンが建物の壁を吹き飛ばすと、何人かが逃亡を図った。そいつらは後方支援に任せ、徐々に人が減っていく店に乗り込んで全員確保した
「で、そいつが諸悪の根源か。あちこち喧嘩売って回ったにしては随分しょぼいな」
VN「捕まえて開口一番“保護しろ”だって。普通に刑務所行ったら命ないってわかってるんだろうね」
マ・ヨグンは後ろ手に手錠をかけられ、車の後部座席で震えている。辺りをかなり気にしているようだ。司令は窓から覗き込んで言った
「保護してやってもいいが、情報と引き換えだ。まずカン・ドンチョルから盗んだ情報ってのがどこに隠されているか教えてもらおうか」
「…ッ貸金庫に鍵をを預けてある。貸し倉庫に他のもんと一緒に隠しておいたんだ。そっちの支払いを優先させたせいで家賃が払えなくなって、家は売られた」
「……貸し倉庫だと。どこのだ」
マ・ヨグンが言った場所を聞いてスングァンが真っ青になった。まさに俺達が芝居を売ったあの倉庫だ
「中に何が入ってる。USB以外にも何を盗んだ」
「大量のウラン」
今度はミミ兄も含めて全員が青ざめた。貸し倉庫に大量の核物質。いつかのコバルト60と同じだ。カン・ドンチョルはテロを計画していたのか
「計画自体は詳しく知らない。逮捕される直前にウランを入手したのは知ってたけど、逮捕された時俺が引き継ぐつもりで別の場所に移して、ついでに奴がいざという時のために隠し持ってたガラス玉で能力解除の保護をかけた。テロを計画したのは奴じゃない、依頼人が」
ッダ―――ン！！
「全員伏せろ！！」
突如響いた銃声に辺りは騒然となった。バーノンが焦ったように言う
VN「司令！！こいつ撃たれてる！！」
「くそっ…駄目だ駄目だ死ぬな！！テロの目的は！！場所と時間を言え！！依頼人は誰だ！！ジョン・テギョンはどこに関わってる！！」
ミミ兄がマ・ヨグンの胸を押さえるが、彼の口からごぽっと血が溢れだす。彼は震える手でヒョンの腕を掴み、呻くように声を絞り出した
「黒い、手……黒い手だ…」
そう言い残し、マ・ヨグンは息絶えた。黒い手―――ラマノネグラの手掛かりを残して
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
