“普通じゃない”のが“普通”である ページ18
ジョンハン視点
SW「怪しいのって言われても……今思うとどれも怪しく思えちゃって」
江原道に缶詰めにされて暇なのか、くつろいだ様子のソウンさんが言った
「姉妹揃って男見る目ないんだね。DV野郎に悪徳業者にドユン」
SW「あんたそれ自分に石投げてるってわかって言ってんでしょうね」
ぐうの音も出ず凹んでいると、彼女はからかう様子もなく続けた
SW「そりゃ私にとってジョンハン君は義兄として完璧じゃないよ。若造だし、生意気だし、口悪いし、戦闘員だし、高卒だし、通い妻状態だし」
「おっしゃる通り過ぎて耳が爆発しそう。高卒じゃなくて中退です」
SW「でもオンニにとってもユジンにとっても、現時点でジョンハン君以上の人はいないと思う。オンニにベタ惚れだし、ユジン溺愛だし、何ならちょっときもいくらいだし」
「血の涙が出そう。どうしてくれようこの小姑」
SW「何より恩人だし、今までオンニの周りにいた男の中で誰よりもユジンの父親にふさわしい男だからね」
ソウンさんにそう言ってもらえると、余計後ろめたく感じる。自分はどれだけイェウンヌナやユジンを想っているようなことを言っても、結局戦闘員を辞めることは出来ないし、そのことに後悔も出来ない
SW「だから何でさっさと両家の顔合わせやらないのかって思う」
「結婚が決まって一日しか経ってねえじゃん無茶いうなよ」
SW「付き合ってるうちに紹介したってよかったんじゃない？ジョンハン君のご両親は息子の結婚相手が子持ちだと反対するタイプなわけ？」
「……あの人達は全てに反対するよ。俺が決めたことには全て」
母は俺の自慢の息子だと言った。俺は同い年の子供の中でも一番目立ったし、母の自尊心を満たすのには十分いい子だったと思う。発現した時、両親はもちろん能力を隠してくれたし、それは俺を守るためだった。でもどこかで、母の中で俺に対する不満が蓄積されていくのを感じていた
学校で事件が起きた時、母は俺に“発動するなと言ったのに”と責めた。それが絶縁のきっかけだ
「“普通じゃない”親子関係なんて吐いて捨てるほど転がってる。俺は性悪説を信じてるしね。ただ誰もそのことに気付かない。うちもパンデミックのせいで浮き彫りになっただけだ」
SW「……ジョンハン君が歪んでるのには理由があったんだね。うちのオンニに惚れたのもどこかでコンプレックス拗らせて良き母親を求めてるからじゃ…」
「勘ぐって混ぜっ返すんじゃねえよ刈るぞ似非ゆるふわ」
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
