理想の父親 ページ14
ジョンハン視点
「急展開」
「……実を言うとそうでもなかった」
目をまん丸にしているミミ兄に言うと、彼は首を傾げた。今でこそ良き上司であり良きヒョンとはいえ、かつてふられた相手に結婚報告とはどういうことだ
「ユジンが友達に父親のことを聞かれて、答えられなかったらしいんだ。実父のことはちゃんと話してないしまだ早いとして、俺がどういう存在なのかわからないって。で、ソウンさんにどやしつけられた」
―――とっとと収まるところに収まれ
―――“彼氏”も“夫”も“父親”も、オンニが求めるものは同じだ
「それが先々月」
「随分前だな」
「あの小姑にお許しを貰ったとはいえ掃除屋のリストが全然片付いていない今諸々が心配で先延ばしにしてたらヌナに先に言われたというこの悲しさね」
正式に俺の家族となるなら、問題は山積みだ。恋人の娘でしかなかったユジンが俺の娘となるのだから、危険度は増す。それに俺自身の問題もある。ミミ兄が持つ監護権問題の誤解を解くために会って以降、依然俺は家族とは疎遠なままだ
「ソウル駅のゲートポイントを使え。俺かクプスに一声くれれば手続きなしでも帰って構わん。無線と衛星電話を忘れるな。任務優先なのは変わらない」
「……ヌナも男運ないよね。一緒に住むことも出来ないんだ」
そう言うとミミ兄は俺の頭を引っ叩いた。相変わらず励まし方が雑だ
「家が2つあると思えばいい。任務中は無理でも訓練日なら、稼業後会いに行ける。数時間でも一緒にいられるだろう。イェウンさんも最初の夫はろくでなしだったが、見る目がないわけじゃない。連れ子を自分の娘のように考えてくれる男を捕まえたんだ」
「……ユジン、父親として認めてくれるかな」
オッパとして慕ってくれるならそれでいい。俺が父親であればいいだけだ。それでも心のどこかでは、あの子が父親は誰かと聞かれた時に最初に思い浮かべるのが俺であってほしいと思ってしまう
「大丈夫じゃないか？お前は今でも十分親馬鹿だよ。基地じゃ口を開けば“天使自慢”だ。天使一家だな。それにあの雑巾兄弟、傷ひとつないのに揃って泡吹いてやがる。ウォノさんがお前の精神状態を心配してきたぞ」
「何一つ安心要素がないんですけど」
「チャイナドレスで本部を爆破して回り、一回り以上年下の候補生を剥きにかかるあの禿げのことを、俺は第二の父親と呼んでいる。それに比べりゃ上等だろう」
ミミ兄の話は桁が違う。それでも力尽くで安心させてくれるのだから、不思議な人だ
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作者名：くたろまりあん
| 作成日時：2018年2月19日 23時
