色の見えないあなたと共に…【アナタシア】本編1 (ページ7)

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第6話ページ7

Aside

A「そこまで聞いたら大体貴方との関係も分かる。貴方はその虐めを見て見ぬ振りをしていた。自分が虐められるのが怖いから。関わったことぐらいはあるんだろうけどね。来た時の様子から見て、理系と普通科で違っていてもイケメンの噂が広がるぐらいだったから、悪い言い方をするとカースト上位だった。だからそこから落ちるのが怖くてちずに助けの手を差し伸べられなかった。違う？」

言葉に詰まっている。

まさと「っつ…図星…だよ。全部合ってる。…で…ねぇ、名前は？橋本さんとの関連性も聞きたいし…。」

A「聞いたことあると思うけど…私の名前は野村 A。」

聞いたことがあるはずの名前を口にする。

まさと「え…健君と…まりん君が言ってた…子？」

A「そ。で、その前に。私が前髪伸ばしてる理由、知ってる？」

これはちずが信じた人なのかどうかと聞いているつもりだ。

ちずは信じる人には2～3回喋っただけでも信頼できると見抜き、悩みを相談するような人。だから、この人もちずが信頼していたら私のことを知っているはずなのだ。

とは言っても、多分知らないだろう。虐めを見て見ぬ振りをしていた奴を、ちずが信じるはずがない。

まさと「…知らない…けど。」

予想通りだ。

A「…私はちずの親友…だって、思いたい。小学で出会って、毎日遊んでた。喧嘩したことも沢山あるけど…私のために、1番動いてくれたのはちず。…ちずがいなくなる瞬間を見てるから。」

「そして」と続ける。

A「私は元々左眼が翠、右眼が赤黒かった。左眼が翠なのは虹彩異色症っていう病気でね。でも、4年生の時に野球ボールをぶつけて、左眼を網膜剥離に奪われた。そして…色が分からない。そのせいで小学校の時からずっと酷いいじめをされてる。前髪を伸ばしてるのは右眼と付けてる眼帯を見られるのが嫌だから。ちずはこのことを信頼した人には絶対に言う。たとえ話した回数が少なくても、ちずは信頼できるかどうか見分けられるから。でも貴方は知らなかった。だから…さ。」

言葉に詰まってしまう。

まさと「…自分が信頼した人が信頼した人を、野村さんは信じるん…だよね？だから…僕のことは、信頼出来ないよね。やられるのが怖いからって、虐めを見て見ぬ振りしたんだから。」

なんだ、分かってるのか。

でも、私が言いたいのはそれだけじゃないから。