【第五人格】物理的災害【探鉱者】

Nineteenth ページ20

ノートンさんの肩を持ちながら重さに耐えつつ廊下を歩いていた。

イソップさんに見られたらまた誤解されそうな光景だ、と心の隅の方で思う。

ちなみにイソップさんはノートンさんの前にナワーブさんの餌食になり早々と寝てしまっていたので見られることはなかった。

なんとかノートンさんの部屋まで来ることができ、ゆっくりと扉を開ける。

ノートンさんの部屋は私の部屋と同じような作りになっていた。

うとうととしているようだったのでベッドまで連れて行こうと思い、ノートンさんの重い体を持ち上げた。

ボフッと毛布の上にノートンさんを乗っける。ノートンさんの目はまだ少し開いていた。

私をとろんとした目で見つめていると、急に頬にキスをされる。

昼間よりも軽いキスだが、脳内では昼間のことがまたリピートされてしまい体温が急激に上がる感覚を感じた。

それで満足したのかにこにこと笑いながらノートンさんが口を開く。


「…好きだよ。Aさん。ここに閉じ込めておきたいくらいに…」


そう言うとノートンさんは、んん…とくぐもったような声を上げながら毛布に包まる。

数秒もしないうちにすぅすぅと規則正しい寝息が聞こえた。

一瞬の出来事だったが私は動揺が止まらなかった。落ち着きを取り戻すまで数分かかったような錯覚さえ感じた。

しっかりと心を静めて外に出ると信号銃を構えたエマちゃんが射撃体勢でその場に居座っていて、肝を冷やした。

ちなみに理由は「Aがノートンさんに寝取られてないかと心配しちゃって…ごめんなの〜！！」とのこと。

寝取りはされませんでしたがキスはされましたとは流石に言えなかった。

言ったらエマちゃんの持っている信号銃が火を噴きそうだったから。


そんなことが起きながらエマちゃんにおやすみを言うと私は部屋に戻った。

ちゃんと鍵をかけた。よくよく考えると昨日は鍵をかけ忘れていた。迂闊すぎる。

そうしながら私は机に置きっぱにしてあった手紙を片付け本棚から日記を取り出した。

たしかゲームの様子とか今日の出来事を書けばよかったはず。

そう思いサラサラとペンを滑らせた。思った以上に今日の出来事がありありと思い出せたので書き終わるのに時間がかかってしまった。

あとナイチンゲールさん宛にノートンさんと一緒に試合をしないようにしてほしいということ、とチェーンロックくださいと書いておいた。

書き終わると本棚に戻してそのままベッドに入った。明日も試合があるだろうし寝よう。

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