【平和組】泣いても無駄だよ。【つ.わ.は.す】 (ページ10)

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「レトさん、ごめんけどコイツと二人きりにさせて」ページ10

長い長い一夜は明けて窓から光が差し込んできた。…はず。
私はそのことに気づけない。いや、気づかせてくれない、というのが正しいだろうか。

いつの間にか寝ていたのだが、目を開けても私の夜は明けない。
目隠しをされていてあたりは真っ暗。その前に目隠しにまつ毛が当たっていたい。

キヨは起きているかどうか定かではない。
しかしベットに腰かけているのは確かであろう。

そんな思考を私が張り巡らせていると、玄関の扉が開く音がした。

「やっほーキヨくん」
「…レトさん」
「あ、Aちゃん寝かせとるんやね…」
「俺がAをぐるぐるに縛ってクローゼットにでも閉じ込めてると思ったの？」
「少しね」
「レトさんひどくね！？」

そう私の周りで談笑する二人。
キヨ、そしてレトさんという人物。
レトさん…。なんだか聞いたことのある声だった。

「でさ、キヨくん」
「何？」
「今日の当番なんだけどさ、P-Pになったよ」
「…そうかよ。そんなことだけ言いに来たわけ？」
「そんなことって…、少しは気にしてたくせに」
「別に。俺のことに興味のないAに興味なんてもうねぇよ」

そうキヨは呟きベットから立ち上がる。
少し声が霞んでいたのは私の聞き間違いではないはず。

「レトさん、ごめんけどコイツと二人きりにさせて」
「わかった…」

そういってレトさんと呼ばれる人物は家から出ていく。
二人きり…、そう認識した瞬間少し身構えてしまった。
まぁ身構えても手錠や足枷されてるから身動きとれないのだけれど。

「A、ごめん俺のこと恨んでるだろ」
「…」
「ガムテープで口塞いでないんだからしゃべろよ」
「…恨んでるよ」
「だよな」
「…キヨが暴走しやすいなんて知らなかった。もっと私に教えて欲しかった」

キヨのこと何も知らなかった。
ずっと、何も。
好きなゲームも食べ物も趣味も。

私はずっと彼の親しみやすい性格と顔立ちの良い顔に惹かれていた。
そんな愚かな私。告白して、付き合って、たわいのない話をする。
それが幸せだった。

「ねぇキヨ」
「あ？」
「私キヨのこと好きだったよ。どんだけ携帯の中身確認されようが待ち伏せされようが体操服盗まれようがね」
「ばれてたとか恥ずかしぃんだけど」
「そんなことを今まで君はしてきたのだよ」
そう茶化すそしてつづけた。
「私キヨのこと好きだった。バカでしょ。嫌なことされても好きなんて」