【平和組】泣いても無駄だよ。【つ.わ.は.す】 (ページ8)

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「ご指名は俺だろ？」ページ8

じゃあ後は二人でごゆるりと、そう誰かが言葉を放って三人は外へと出て行く。
ガチャリとかバタンとか音がしたからもうこの家には居ないのかもしれない。

私の選んだ相手がガムテープと目隠しを外してくれる。しかし足枷と手錠はついたままだった。

「ねぇ、A」

ズキリ、心拍数が高くなり息が荒くなる。
この声を知っていた、手も匂いも全部。

「キヨ...」

私を拉致した一人は高校時代の元彼だった。
相変わらずイケメンで、背が高くて細身でなんでもこなせそう。そんな感じ。

「A、聞きたいことがあるんだ」
「う、ん」
「なんであの時俺を振ったの？」

彼からの質問は少し予想はしていた。
私は彼を一方的に振り、それ以降連絡をとっていなかったからだ。

「ねぇ、なんで」

ギシリとベッドが軋む音がする。
私はキヨに覆い被さられるものの、身動きがとれず抵抗ができなかった。ただ、されるがまま。

唇を奪われそうになったその瞬間、私は口を開いた。

「....怖かった」
「え」
「キヨの行動が怖かった」

彼は特別独占欲や束縛心が強かった。
携帯の中身はもちろん、普段の行動パターン、洋服の種類、身長体重。すべてを把握されていた。

そして極めつけにはストーカー。
もちろん最初は違う人の犯行だと思っていたしキヨにも相談していた。

しかしある日、そのストーカーの犯人がキヨとわかった。

別れる理由が分かっていないということは、私が気づいたことにキヨは気づいていなかったのだろう。

「ねぇキヨ。私達終わりだよね？」
「....」
「もうこんなことやめよう。みんな可笑しいよ....」

これで全て終わると思った。
キヨなら私の願いを聞いてくれると思った。

でも違った。

ガッ、と急に首を締められる。
手足は動かないので抵抗も出来ずに魚のようにベッドの上でじたばたする

「Aさ、勘違いしてるよね。」
「っぐ」
「終ってないよ俺達。それにこれから始まるんだ。
こんな日常が」

お前が俺のことを嫌いであろうと何であろうと、
俺はAを愛してる。

そう耳元でつぶやき首から手を退ける。
私の目には自然と涙が溜まっていた。

「お前のご指名は俺だろ？今夜は楽しませろよ。A」

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