【平和組】泣いても無駄だよ。【つ.わ.は.す】 (ページ16)

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『キヨくんのこと紹介しようか…？』ページ16

『あー、早田ね。サッカー部のエースなのに試合前にAの弁当食べて身体壊したんだってね』
『キヨくんその弁当になんか…したん？』
『べっつにー、ただAがつくった弁当と俺が適当に作った弁当を交換しただけ』

Aの弁当うまかったわー、
そう言って笑うキヨくんに恐ろしさを感じる。

『…Aが早田から滅茶苦茶言われよったの知っとるん…？』
『あー、早田まじでキレてたな。泣いてるA本当可愛かったわ』
『キヨくん…それ…』
『大丈夫大丈夫、そのあと俺が抱きしめて大丈夫だよとかいっといたから』

友人の笑顔が怖かったと感じたのは今までで初めてだろう。

そしてある時、Aが同じクラスの女子からイジメを受け始めた。
今まで仲が良かった友達からも無視されるようになり、俺以外とはクラスで話さなくなった。

『大丈夫だよ、A。俺が守ってやっから』
『…キヨくん』

放課後、誰もいない廊下で
キヨが泣いているAを抱きしめて励ましている場面に出くわした。

もちろんそのイジメの原因はキヨくんだった。
自分に好意を抱いているAと同じクラスの女子にAをいじめるように命令していたのだ。

―――キヨくんはおかしい。

そして、その日は突然やってきた。

『栞太、私キヨくんのこと好きかも』

Aからその言葉が出たとき信じたくなかった。
俺にしときなよ、なんて言いたかった。
でも…俺は。

『キヨくんのこと紹介しようか…？』

こうすることしかできなかった。
だってAの笑顔が見れれば俺はどうだってよかったから。

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