【平和組】泣いても無駄だよ。【つ.わ.は.す】 (ページ11)

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「はーい。昼ドラ茶番はそこまで！」ページ11

私が言葉をつづけるたびにキヨは鼻をすすっている気がした。

「キヨはこんなんじゃない。私の好きなキヨはもっと明るくて元気で実は皆に気を配れるいい人で、って。バカでしょ。勝手に理想のキヨを作りだして、結局本当のあなたを受け入れられなかった」
「A。もういいよ。俺のことがもう好きじゃないのは分かった！！」

そうやってキヨは自虐的に笑う。

「なんで笑うの。今でも好きだし。」
「いや違うね。だってこんな嫌なことされても好きとか頭おかしいわ」
「おかしいよ」
「Aは一般人だよ。ほんと。困るくらいにね。」
「どういうこと…」
「まだ俺をAの理想で作り上げてるんだよ。あのやさしくてイケメンでスポーツ万能でなんでもできるチートなキヨがこんなことするってことは'何か理由があるんだ'ってね」
「キヨをそんなに捏造してはないけど…」
「っ、とにかく！俺はもうお前に興味ねぇの。」

そう言って私の鼻をつまむ。
苦しい。

「…A、本当ごめん。いっぱい傷つけた。もうバイバイしようぜ」

そういって彼は部屋の扉をあける。
私には追いかけることはできない。

「もう俺はお前のこと嫌いだから。ほんと嫌いだから。絶対もうお前に干渉しねぇわ。この妄想女。」
「キヨ…」
「…っ！なんでそんな苦しそうな顔するんだよッ！」

―――俺のことを嫌いになってよ。俺のことを嫌いになってさよならさせてよ。

なぁ、A。

「キヨ」
「んだよ」
「好きだよ」

「ほんとずりぃ。Aずるいわ。まじで。」

――そうやっていつも俺を自分のそばに置こうとする。

Aからはもう、逃げられない。

「はーい。昼ドラ茶番はそこまで！」

手をパンッと叩いて誰かが入ってくる。
…私の聞いたことのない声。

あれ、少し。頭がグラグラしてきた。

少し。眠い。

「P-Pてめぇ」
「大丈夫って。少し薬盛っただけだから」

そう二人が会話する声。

軟禁生活二日目の朝、私の記憶はここで途絶えた。