２ ページ27
水族館は休日にも関わらず、人がまばらだった。
どうやら目玉の魚が準備中だからだそうだ。
慌てた水族館のお姉さんがショーはアザラシやペンギンがいると付け加えた。
「なんかすいません」
ショッピ君はこれを把握していなかったらしく
申し訳なさそうな顔をした。
「えっ、いいよ、水族館行きたかったし…！」
ギュッとショッピ君は私の手を強く握った。
＊
それは深海魚のコーナーで起きた。
照明が落とされ、水槽内の明かりと
非常灯だけが照らされている。
人はおらず、静けさがそこを支配していた。
神秘的な魚達に心を奪われる。
不意にショッピ君が
「先輩、髪に虫ついてますよ」
「えっ、と、とって…！」
私はショッピ君の正面に立ち体を寄せた。
水槽の光が床に明るさを溢すだけの暗がりの中、
ショッピ君は私の顎に触れ、クイッとあげた。
困惑していると唇に柔らかい感覚。
「んっ…」
ショッピ君とキスしていると理解した時には、
頭は真っ白で、しかし目を開けられず
柔らかい感覚が心地よくて私は卒倒しそうだった。
背筋にビリビリとした感覚が伝い震える。
ショッピ君は私の腰に手を回し、
何度も角度を変えてキスをした。
体が密着している。
酸欠になりそうでフラフラする。
ショッピ君の舌が私の舌を絡めとろうと
口内を這う。
響くキスの水音が恥ずかしくて、涙が滲む。
唇が離れ、銀の糸が垂れた。
はぁ、はぁと肩で息をする。
「……先輩、
俺先輩のことが好きなんです」
急にショッピ君が口を開いた。
「っ、えっ……？」
「すいません、耐えきれなくて
……でも俺好きなんです」
矢継ぎ早に私に思いを告白するショッピ君。
脳が追い着いてこない私はまごついた。
「え、えっと私は………」
何か言わなきゃと焦り、しかしいい言葉が見つからない。
「……すいません、また先輩を困らせましたね」
また申し訳なさそうな顔をして、
でもどこか嬉しそうで。
そのあとは良く覚えてない。
ショッピ君がアザラシを見て珍しく硬い表情が
柔らかくなっていたのは記憶している。
ショッピ君の突然のキスと告白で
頭が真っ白になってしまったのが原因だ、全部
家まで歩きながら指先が唇に触れる度
あの熱い体験を思い出し赤面してしまう。
(あ、ていうか私返事してないじゃん……！)
しかしまだ私には彼に返す正しい言葉を
見つけることはできないのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
脅威のセラフ - これ、WTの皆様と幼馴染だったら嬉しい！ (2020年7月11日 16時) (
レス) id: 285d3eca52 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 - 根回ししますのところ、発声が発生になってるっすよ (2019年10月15日 18時) (レス) id: 6405eb1fb4 (このIDを非表示/違反報告)
狂猫 - 名前ありさにしてたんでアリサちゃんとか出たのビビりましたww (2019年9月8日 17時) (レス) id: 7d56b5cd53 (このIDを非表示/違反報告)
きらり(プロフ) - るいさん» コメント、リクエストありがとうございます(^^)実はちょうど書きたかった話なので書かせていただきますね！ (2019年8月25日 0時) (レス) id: caac3973be (このIDを非表示/違反報告)
るい - 主人公のメガネ取った姿を見たいです (2019年8月24日 21時) (レス) id: 4461d627b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きらり | 作成日時：2019年8月14日 8時
