瓶の中【E】-1 ページ10
書いてみたいもの達。-10を本格的に書いてみたいと思いまして。
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「⋯⋯これがそう、なんですか?」
「ええ。『A』の瓶詰めでございます」
「⋯⋯すげぇ⋯⋯」
白衣を着た研究員の男性に手渡されたその瓶の中身を見つめながら、えおえおは思わずぼやいた。
中にいる『A』と呼ばれたそれは、静かに寝息をたている様に見えた。
メガネの位置を左手で調整しながら、彼はえおえおを値踏みする様に頭から爪先まで見渡す。
そして、微かに首を振ってため息をついた。その顔には、『諦め』が浮かんでいる。
『A』を見つめるえおえおは、その所作に気づいていない。
「⋯⋯えと、こいつは、その⋯⋯、」
「ああ、勿論無料でお譲りします。なにせ失敗作でね。なかなか成果をあげなかったので、廃棄する予定だったんです」
「成果、廃棄⋯⋯?」
そんな事をサラリと言ってのける彼に動揺しながら、なんとか聞き返す。
こんな穏やかな子が、失敗作なんて。
研究員の彼はその反応も想定内だったのか、「ああ」と真顔で頷いた。
「お伝えしておりませんでしたか。ウチでは人体実験を行っているのですよ?」
「⋯⋯知りませんでした。その実験は、何を目的としているのですか?」
「様々です。この子の様な規模から、決して口外出来ない内容まであります」
手元のバインダーがチラリと見えた。
__「Monster」と記されている。Monster⋯⋯「怪物」、「化物」という意味ではなかったか。
この子は「Monster」なのかと戦慄した所で、彼がえおえおの視線に気がついた。
「この子の話ではありません。別の女の子の事です。
⋯⋯少々イタズラが過ぎる、厄介な子でね。生きた人間を3人も、玩具の様に、無邪気に、残酷に殺したんです」
眉間に皺を寄せる彼の表情は、その少女に対する怒りや憎しみに満ちていた。
その話は俺が聞いても大丈夫なのか、と困惑しつつも。
⋯⋯実際に殺された訳でもないのに、嫌にリアルな「恐怖」が頭をよぎった。
「⋯⋯ごめんなさい、口が滑りました。
彼女は何も害は与えません。食事も必要としません。まぁ、与える事は可能ですが」
彼の表情が、どこか苦しげになった。大丈夫だろうか。
「⋯⋯えっと、ウチ猫いるんですけど、大丈夫ですかね」
「その猫が懐きやすければ」
「えと⋯⋯A、は、懐きやすいんですか?」
「人受けだけは良いですから」
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作者名:玉ねぎプリン | 作成日時:2018年8月5日 21時