君はずっと【K】※シリアス ページ41
Side:K
君はずっとそうだった。自分を卑下して、蔑んで、嘲って。
「ごめんなさい」「許して」と頻りに泣いていた。言葉にこめられた意味に背を向けながら、俺はその度に彼女を抱きしめて頭を撫でていた。
俺の自惚れでなければ、彼女は俺を心の底から愛してくれていた。それは言動の一つ一つから滲み出ていた。……様に思う。
でも。
彼女は、何も言わずに、俺の前から姿を消した。同棲していた家からも、彼女の生活していた気配がほとんど姿を隠した。
ただ残ったのは、彼女の仄かな匂いだけ。
「……、」
いくら名前を読んでも、彼女は帰って来てはくれないのだ。
心ここに在らずのまま迎えたライブ当日。アンコール後の本当に最後の歌で、色とりどりの銀テープがぱあんと弾ける。
会場にいた皆の熱量が更に上がった。演者側の人間のテンションも上がっているのが分かる。この瞬間は、俺も大好きだ。
でも この光景を、あの子と見られていたなら
同じ景色を共有出来たなら
「……おい、どうした?」
少し離れた所にいるFBが、こちらを見やる。サングラスに隠れた目が怪訝な色を覗かせているのがありありと分かった。タオルをぶんぶん振り回しているえおえおとあろまもこっちを見ていた。
そんなに今の俺はおかしいか。
しかし、それを気にする余裕なんて、ない。
不意に、視線が交わる。恋焦がれた彼女と。いなくなったはずの彼女と。泣きそうな顔をした彼女と。
彼女は、客席にいた。光と光の間を縫って、最後に見た姿のままら、
「、まって、」
右足を一歩踏み出す。「きっくん!?」と俺を呼ぶメンバーの声が二重に聞こえたが、もう、そんなの知らない。
俺は、Aに会いたいんだ。お願い。いかないで
彼女の声が聞こえる。
『ごめんね。大好きだよ。でも、私の事は忘れてください』
ふざけんな、ふざけんなよ、忘れられるわけがないだろ。ふざけんな。
『あいしてる』
Aの瞳が、緩やかに閉じられた。
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お久しぶりです。玉ねぎプリンです。無観客ライブ生配信めちゃくちゃ良かったですね。
名前は違うし占ツクの話はしてませんがTwitterやってるので、良ければ声かけてやってください、という旨を伝えに来ました。
ランヴェルセ(@star_dust_orbit)です
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作者名:玉ねぎプリン | 作成日時:2018年8月5日 21時